2024.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’24各社の戦略 パナソニック 堂埜茂副社長執行役員くらしアプライアンス社社長
堂埜 副社長
〝再起動〟をキーワード
真に競争力ある製品を投入
新型コロナの影響や上海ロックダウンなどさまざまな要因が重なって2022年度の業績は厳しかったが、23年度は予断を許さないものの、くらしアプライアンス社として増収増益で着地できる見込みだ。この一年ゼロベースで徹底してコスト削減に取り組んだことが増益の大きな要因だ。
現在の市場環境は、厳しかった22年度以前の状況には戻っておらず、アウトドア重視の消費が伸びるなど家電需要は、まだ楽観視できない。
こういう中でも、好調に推移した商品では、アウトドアウエアのはっ水機能を回復させる「はっ水回復コース」搭載が支持され、ななめドラム洗濯乾燥機が好評だった。パームインシェーバーも好調に推移した。
また、サービスでは3年前に立ち上げた家電と食のサブスクfoodable(フーダブル)が、現在では売り上げが3倍に拡大しているほか、日本ではなかなか普及率が伸びない食器洗い乾燥機で、普及のハードルを下げるため始めたサブスクが好調に推移している。
また、全般的に良いデザインで良い商品も出すことができた。特にキッチン家電ではレンジや炊飯器などブランドもビストロで統一し、欧米のデザインにも負けないものを投入した。ただ、現在の国内市場はデザインを良くしただけでは販売に直結しない。それほどライバルメーカーが強くなっている。特に中国の強力なサプライチェーンを生かしたコスト競争力の強い商品が多く出回り、価格で負けている。
私自身、23年11月まで約3年、中国・北東アジア社(CNA社)社にいたため、実際に中国メーカーとの競争を経験している。この経験を生かし、良いデザインで良い商品であり、価格でも負けない商品を出していくことが24年の大きなミッションと考えている。
フラッグシップモデルを中心に、新しい販売スキーム(指定価格制度)に対応した商品も現在かなり増やしているが、適正な価格で販売することで、新スキームはより強力に機能する。もちろんミドルクラスやボリュームゾーンの商品でも価格競争力は問われる。もはや、技術や品質力だけで勝てるステージではなくなっている。
国内市場はこの2~3年で、中国勢との激しい価格競争が始まった。スピード感、強力なマネジメント力とそれを支えるインフラを持つ中国メーカーの強さを見習いたい。世界中の家電製品の7割をつくっており、グローバルカンパニーとして世界市場をけん引しているのが中国メーカーだ。
一方、われわれにはR&Dで過去から培った、お客さまの琴線に触れる強い技術力がある。この上で中国の先進性に学び、調達先の見直しも含めコスト競争力をつけ、スピーディーに新商品を投入する、というやり方を徹底してアドオンする。この思想で、魅力ある、真に競争力のある新製品を絞り込んで投入していく。24年は〝再起動(リブート)〟をキーワードに巻き返しを図る。