2024.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’24展望 掃除機

小まめに掃除する人が増え、コードレススティック掃除機の需要が拡大している

コードレススティック型が拡大
軽量・ハイパワーが特長

 コロナ禍で高まった室内の清潔・快適志向により、掃除機の需要は堅調だ。在宅時間の増加などライフスタイルが変化したこともあり、掃除の頻度も高まっている。

 掃除機市場で現在需要の中心となっているのが、コードレススティック掃除機だ。清潔志向により掃除の頻度が高まる一方、なるべく負担をかけずにきれいにしたいという家事省力化のニーズも強く、軽量・ハイパワーが特長のコードレススティック掃除機への注目が高まった。

 近年、このコードレススティック掃除機にも国内外のメーカーの参入が増え、商品開発が活発となっている。コードレススティック掃除機ではサイクロン式が大半だが、紙パック式も増え始めている。

 ごみ捨て時の清潔性がより向上することから紙パック式を選ぶユーザーもあり、ニーズの多様化に応えたバラエティーに富んだ商品戦略で需要開拓に力が入る。

 掃除機市場は、コロナ禍に見舞われた2020年度、5年ぶりに増加に転じ、前年比11.8%増の488万4000台(日本電機工業会=JEMA調べ)と2桁伸長して以降、21年度、22年度と順調に拡大した。

 23年度に入ってからは物価高騰に伴う節約志向や、外向き需要が拡大したことから、4~10月累計で前年同期比87.5%(JEMA統計)と前年を割り込む形で推移しているが、中長期的には今後も安定した需要が見込めそうだ。

 主力商品となっているコードレススティック掃除機は、掃除機全体に占める構成比が6割を超えている。共働き世帯が増え、掃除頻度も増加する中で、家事負担の軽減ニーズは強く、コードレススティック掃除機の構成比は今後着実に高まっていきそうだ。

 スティックタイプの掃除機は本来、補助的な2台目掃除機として利用されることが多かったが、今ではメインの掃除機として使われるようになった。

 コードレススティック掃除機の性能が相対的に高まっていることが関係している。吸引力(ハイパワー化)、電池性能の向上(長時間運転)、軽量化、静音化、メンテナンス性の向上など、ユーザー視点で、より使い勝手を高めた商品開発が進む。

 静音化については、共働き世帯の増加を背景に、掃除する時間帯が夜間となり、隣人への迷惑が気になることが増え、ニーズは強まっている。

 また、犬や猫などペットも騒音には敏感で、ペットを飼う世帯が増えている中、静音性への配慮はより重要となっている。

 清潔意識の高まりを背景に、掃除機の掃除(メンテナンス)が気になる人も増えている。ごみ捨て時にほこりが舞う、フィルターやダストカップの掃除が面倒、といった不満も高まっていることに対しては、紙パック式の投入やセパレートタイプのごみ自動収集機能搭載など、各社独自の商品戦略に力が入る。