2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 ヒロセ電機 石井和徳社長

石井 社長

徹底して新製品開発に取り組む

 2024年の展望は、経済全体では、観光業やサービス業、自動車業界など悪くない業種が多いが、産業機器系の分野は厳しさがある。24年には為替も対ドルで円高方向に進むことが予想され、電子部品のアプリケーション別でも、堅調な自動車以外では成長が期待できそうな分野がなかなか見当たらない。

 顧客在庫もまだまだ多く、コロナ禍でのサプライチェーン混乱を背景とした部品確保のためのオーダー急増の反動が出ている。

 現在のような市場環境の時期は、内部の体質強化を図ることが重要だと考えている。中長期視点でわれわれがどのようにして顧客にアドバンテージを提供できるようにしていくか、ということを考える。足元では市場の在庫が多い状況が続いていることから、当社としては、24年度と25年度を両にらみで見ていく必要があると考えており、25年度以降の立ち上がりの動きをよく見極めていく。

 当社がやるべきことは、原点に立ち返って、何によって顧客に貢献するかを考慮し、そのための質の強化を図っていくことになると思う。その上で、24年度、25年度のビジネス再生への読みをしっかりと行い、その対応に向けて、スピード感を重視して取り組む。

 現在、新たな生産設備開発拠点の「東北アドバンスト・テクノロジーセンター」(盛岡市)を建設中で、3月の竣工(しゅんこう)を予定している。また、郡山新工場(福島県郡山市)も6月に竣工する予定。韓国ヒロセコリアでもR&D棟を増設し、秋口の稼働を予定している。稼働後は、現状比で1.3倍のキャパシティーアップになる。グループ全体での次世代SCM構築も着々と進んでいる。これらの23年度に実行した仕掛けが、24年度以降の事業に効果が表れていく。

 営業面では、中国市場をよく見ていく必要がある。欧米市場や中国市場、南アジア市場の動きを注視し、特に従来以上にASEANやインドを含む南アジア市場をよく見ていくようにしたい。

 販売拠点拡充では23年4月に、米国フロリダ州タンパにセールスオフィスを開設した。24年以降も中国でのSOHOの拡大や、南アジアでの体制強化の検討などを進める。

 われわれが勝ち残っていくための最大のキーは新製品開発。今後も徹底して新製品開発に取り組む。