2020.03.31 【関西版】関西での5G活用 NTTドコモ高原幸一関西支社長に聞く

5Gサービスが開始し、関西では大阪万博に向け5G活用に期待が高まる5Gサービスが開始し、関西では大阪万博に向け5G活用に期待が高まる

パートナーや行政と取り組み継続 万博成功に向け技術革新を促進

 NTTドコモは25日から、次世代高速通信規格5Gを用いた通信サービスの提供を開始した。25年の大阪万博の開催を控え、関西では5Gの活用にどのような可能性が広がっているのか。同社関西支社の高原幸一支社長に話を聞いた。

 5Gサービスの開始に先立ち、当社は18年2月から「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」を開始。関西ではパートナーとともに和歌山県の都市部の総合病院と山間部の診療所を5Gで接続、高精細映像を活用した遠隔診療サービス実証実験を実施。また、駅ホームのカメラ映像を5Gで伝送、AIによる画像解析で安全確保を図る実証実験を行うなど、社会課題の解決に取り組んだ。

 また、スポーツ領域で5Gによる新たな価値を創出した。19年9月に開催されたラグビーワールドカップの会場の一つ、東大阪市花園ラグビー場(大阪府東大阪市)を5Gエリア化する実証実験を実施した。客席で5Gスマートフォンを用いて多視点で観戦できる「マルチアングルライブビューイング」の動作を確認した。

 自治体とも連携し、18年5月に大阪府、19年5月に京都府と連携協定を締結。それぞれ協力事項の一つに5Gを活用したICT化の推進がある。

 大阪府とは5G技術検証環境の常設などIoTを活用した産業振興に協力。京都府とは文化・学術・研究の拠点「けいはんな学研都市」の一部地域でスマートモビリティの公道実証実験やロボット遠隔制御など新ビジネスの創出に貢献している。

 このたびの5Gサービス提供開始を機に、パートナーや行政との取り組みを継続、連携強化し、さらなる産業の発展と社会課題の解決に寄与していきたい思いだ。

 5Gエリア化について、当社は3月末時点で全国150カ所500局、このうち関西は23カ所67局を備えている。さらに、21年6月末には全国1万局、うち関西は1800局、22年3月末には2万局、うち関西は3700局と拡大していく方針だ。

 当社にとって5Gの導入意義は「新たな価値の創出」と「社会課題の解決」の2点。これから注力したいのは、5Gが実現する高精細データによる遠隔診療や画像検知、さらにはARを用いた働き方支援。5GネットワークとARスマートグラスでオフィスから作業現場をリアルタイムで遠隔支援するソリューション「AceReal for docomo」を関西でも本格開始したい。

 5Gサービス提供開始に伴い、ドコモショップで5Gを体感できると好評の「PLAY 5G」コーナーを全国102店舗に拡大。関西ではプレサービス時点のグランフロント大阪店(大阪市北区)から15店舗に増やした。

 大阪万博に向け、NTTグループは万博会場内外における実証実験を通じてイノベーション・技術革新の促進を図る「People's Living Lab促進会議」で情報通信などに関するアイデアを提案、グループ全体で万博成功に向けた取り組みを推進している。

 万博会場の5Gエリア化は大前提として、会場が整い次第、速やかに基地局を整備できるよう備えたい。さらに25年には自動運転が実用化しており、こちらにも5Gの特徴を生かせるだろう。

 当社の技術やサービスで社会に貢献し、これからも顧客に選ばれるドコモであり続けたい。