2024.01.15 【電子材料特集】東京応化工業

種市 社長

熊本に高純度化学薬品新工場
韓国でも半導体関連生産増強

 東京応化工業は、24年度はTOKグループ中期計画「tok中期計画2024」(3カ年)の最終年度を迎える。種市順昭社長は最近の動向について、「23年の年明け頃から半導体市場減速の影響を受けるようになり、23年度は通期予想を下方修正した。ただ直近では、生成AI(人工知能)関連で半導体市場が動き出しているという感触がある。24年の年央以降、半導体産業も当社業績も、22年を超える成長路線に戻ることを期待している」と話す。

 同社は23年に一部を除く装置事業をAIメカテックに譲渡し、材料事業に特化する体制を構築した。生産能力増強にも積極的に取り組み、熊本県菊池市の高純度化学薬品新工場は、24年5月の完成、25年上期の稼働を予定する。「これにより、昨今の熊本地区半導体市場の盛り上がりの波に乗っていきたい」(種市社長)。

 韓国でも、半導体フォトレジストの生産増強とともに、検査能力増強のための検査棟増設に着工した。また、半導体フォトレジストの生産能力増強のため、郡山工場(福島県郡山市)の新棟建設を決めた。24年7月の着工を予定する。

 従業員のエンゲージメント向上の一環で、24年からグローバル持ち株会制度も導入する。

 tok中期計画2024で掲げる五つの戦略は①先端レジストのグローバルシェア向上②電子材料および新規分野でのコア技術の獲得/創出③高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制の構築④従業員エンゲージメントを向上させ人を生かす経営の推進⑤健全で効率的な経営基盤の整備。種市社長は「24年度はこれら五つの戦略を完成させていく。中計最終年度目標の売り上げ1800億円以上、EBITDA350億円以上は、市場の回復度合いにもよるが、何とか目標を達成したい」と話す。

 海外戦略は「当社グループは韓国、台湾、米国に生産拠点があり、これらの拠点を活用して顧客密着戦略で事業を拡大したい。中国での売り上げも伸長しているが、競争の激化も予想されるため、うまく戦略を練っていく。欧州市場にもしっかり対応する」(種市社長)。