2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 MODE 上田学CEO

インタビューに答える上田CEO

IoTと生成AIを融合
データを活用し業務支援深化

 IoTプラットフォームに特化したサービスを、米シリコンバレーと東京の2拠点で事業を展開している。主力のクラウド型IoT基盤サービス「BizStack(ビズスタック)」は、デバイスや車両、ロボット、産業機器などのデータの収集から、蓄積、活用までトータルでIoTサービスを提供している。

 自社データを活用して現場業務を効率化したい企業は多く、建設業や製造業を中心に約40社に採用され、引き合いも増えている。

 新たな機能として、昨夏以降から対話型生成AI(人工知能)をビズスタックに組み込んだサービスの展開を始めた。建設や工場などの現場データから異常が検知された際、スマートフォンを通じて生成AIが自動で現場作業員に話し掛け、現場の状況を知らせることができる。

 これまでリアル空間で計測した数値やグラフといった現場データは、現場事務所などに設置したPC画面にダッシュボード形式で表示して確認してもらっていた。ただ導入企業から「現場で仕事をする作業員はいつもPCの前に座っているわけではない」「PCでしか確認できないのは不便」といった要望が寄せられていた。

 こうした声を解決したのが生成AIだ。グラフのデータをAIに学ばせることで、ダッシュボード上の必要な情報を対話形式で通知できるようにした。

 生成AIは大きな波となり、さまざまな製品に導入され世の中を変えている。米国では特に変化の波をひしひしと感じる。2024、25年はさらに飛躍するだろう。

 昨年3月から、ビズスタックに生成AIを組み込む研究開発を始め、いち早く導入に向けて取り組んできた。多くの企業に採用され所期の結果は出せた。生成AI市場はゴールドラッシュのような状態。金を掘りにくる開発者が大勢いてどこが抜け出すのか。IoT分野で当社はナンバーワンを目指したい。

 強みのIoTとカメラを使えばAIに五感を与えることができる。五感があれば地球上のあらゆるデータを可視化できる。これをコンピューター専用の言語ではなく、自然言語で伝えることができるのが生成AIだ。

 ビズスタックはその入り口から入っていて、導入企業に使ってもらいつつ製品に磨きをかけている。現場業務をデータとして把握している生成AIが、日報や週報などのリポートを肩代わりし書いてくれる機能も深化させていきたい。

 今年はシリコンバレーの人員を増強し、米国展開も力を入れる。