2024.01.17 【計測器総合特集】計測器 24年の戦略 各社トップに聞く 横河計測 鈴木俊之社長
鈴木 社長
成功事例をグローバルに展開へ
横河計測は、脱炭素、通信、ウェルビーイングの3事業を展開し、2023年度業績は過去最高水準で推移する。昨年4月に鈴木俊之社長が就任。国内のビジネスパートナーや海外拠点を精力的に訪問し、「横河計測に対する信頼感を感じることができた」と述べる。
コト売りビジネスへの移行は特に力を入れる領域だ。同社の測定器とソフトウエアで手軽に使いやすい形で計測システムを提供することに取り組んでおり、成功事例も出てきた。こうした事例をグローバルに展開していきたい考えだ。
各事業で、まず脱炭素事業は活発な設備投資の影響で高い成長率を示すなど好調だ。電力計を核にしたソリューション提案をさらに強化、海外市場を狙った現地ソリューションの開発も進めている。
通信事業は計画通りに測定器の新製品をリリース。鈴木社長は「販売面でも期待通りの立ち上がりとなっている」と手応えを感じている。低消費電力の光電融合デバイスの進化に合わせて開発、製造向けで計測ソリューションを適時提供していくのが目標だ。
昨年は生成AI(人工知能)の普及によりデータセンター向けで計測需要が生じた。「800Gなどに対応した光トランシーバーなどのデバイスのプロトタイプが徐々に出始め、年初から量産化に入っていく」(鈴木社長)と見ている。評価装置として光スペクトラムアナライザーなどの受注に期待している。
ウェルビーイングでは測定に用いる波長が広がる中、さまざまな波長に対する測定ニーズに応えていく。鈴木社長は「ヘルスケア向けに圧力と電気の測定を組み合わせた統合計測ソリューションを検討している」と構想を語る。
24年はソフト・ハード、社内・社外の各事業で全方位にアライアンスを強化する。海外では、米国や中国同様に全産業を抱えるインドが大きく成長しており、集中的に力を入れていきたい考えだ。
主要3分野に軸足を置く方針は変えない。鈴木社長は「まだ取り組めていないところもあるので、ビジネスの拡大に努めたい」と意気込みを見せる。