企業価値上げ市場で存在感を

　産業用スイッチの専業メーカー大手、NKKスイッチズ（川崎市高津区）は、2023年12月11日付けで創立70周年の節目を迎えた。

　同社は、「『モノ売り』から『コト売り』への転換」を方針の一つに掲げている。同社が保有するHMI技術や接点技術を活用し、制御関連分野の中でドメインを広げていくという応用展開に力を注いでおり、大橋智成社長は「それが徐々に浸透してきたと感じている」と話す。コト売り強化のための施策として、開発部門の技術者の中から数人のFAE（フィールド・アプリケーション・エンジニア）を選定し、技術営業として販売の最前線に投入する活動を実施。これにより、顧客の潜在的ニーズの把握に努めている。

　同社は21年に、10年後の30年のあるべき姿に向けた新たなグループビジョン『私たちが笑顔となり、お客さまの困りごとを、顧客目線で解決する、真のパートナーとなります』を策定。22年度にスタートした現中期経営計画（3カ年）では、新たな行動理念に「信頼し、信頼される良い会社」を制定するとともに、特に「信頼」と「納期」を重点テーマとした。

　「『納期』に関しては、根本から改善するため、部品の精度を左右する金型に着手し、更新や修正などの強化に徹底して取り組んでいる。また、さらなる原点は設計段階にあり、隘路部品の改造にも取り組んでいる」（大橋社長）。

　また、同社の生産子会社であるNKKスイッチズパイオニクス（NSP）は、23年6月に横浜市戸塚区に新工場建設のための用地を取得した。新工場は24年度中に建設し、25年度からの稼働を予定する。また、従来は本社に倉庫を配置していたが、BCPの観点から倉庫を川崎市川崎区に移転した。移転を機に試験設備等も新調し、品質面や技術面の強化につなげる。新試験室は24年2月の稼働を予定している。

　大橋社長は、70年を振り返り、「本当に人に恵まれた70年だったということを感じている」と話し、「今後も当社の理念である『Great Small Company』のもとで、企業規模を追求するのではなく、企業価値を上げることにより、市場における圧倒的な存在感を追求していきたい」と語った。

　（インタビューの詳細記事は、電波新聞22日付で掲載）