2024.01.24 【ネプコンジャパン/オートモーティブワールド特集】スマートファクトリーで省人化、自動化が加速

工場の無人化、全自動生産を実現するスマートファクトリー

現場の労働人口減少に対応

IoT技術の活用進む

 「スマートファクトリー(smart=賢い、factory=工場)」は、IoT技術を活用した生産システムにより、製造業の生産性を革新的に向上させ、最終的には工場の無人化、全自動生産化を図るもの。スマートファクトリーは「インテリジェントファクトリー」「コネクテッドファクトリー」「オートノマスファクトリー」とも呼称される。

 日本の少子高齢化には歯止めがかかっておらず、人口減少への懸念はやまない。中国でも人口減少の局面に入っており、高齢化に伴う労働人口の減少は生産現場へのロボット導入やスマートファクトリーによる省人化、自動化を加速させざるを得ない状況だ。

インダストリー4.0

 スマートファクトリーの概念は、ドイツが2011年に「インダストリー4.0」として、第4次産業革命に位置付ける生産革新を提唱したことから始まる。人力や馬力から蒸気機関に移行した第1次、ベルトコンベヤーによる大量生産が可能となった第2次、組み立て工程に産業ロボットを導入したFA化が第3次と産業革命を分類。後続として登場したのが第4次となる。

 スマートファクトリーは、今では「製造業のDX(デジタルトランスフォーメ-ション)」「工場のDX」と置き換えられることが多いが、目指す世界は同じである。

 スマートファクトリーは、生産設備の稼働状況を「見える化」することから始まった。従来は作業者が目視で生産設備の稼働状況を確認し、完成した製品の出来栄えなどから判断し、また故障した際は生産設備を止めて修理していた。

 これを工場の生産ラインの生産設備にセンサーを取り付け、モーターや機械要素部品の振動、AE(アコースティックエミッション=物体が壊れる際に発する弾性波)などのデータを収集し、ディスプレー画面で稼働状況をリアルタイムで見える化。収集したデータを解析することで、異常をより早く検知し、故障する前に部品を取り換えるなど事前に修理することが可能になった。

不具合を自動修正

 また、センサーを取り付けた生産ラインの設備同士を通信でつなぎ、デジタルデータをやりとりすることで、不良生産が発生した場合には設備同士が自律的に原因を突き止めて自動的に修正するといったことも可能になった。外国にある工場の稼働状況をインターネット経由で監視することもできる。

 IoTを活用し、リアル空間のフィジカル(物理的)な情報をバーチャル空間に送り、その空間内にリアル空間の環境を再現することで、スマートファクトリーの導入や運用をモニタリング、シミュレーションするデジタルツイン技術の活用も進んでいる。

 IoT技術を活用した生産システムは、製造業の生産性を革新的に向上させ、最終的には工場の無人化、全自動生産化を視野に入れる。365日24時間止まらずに稼働し続けるオートノマスファクトリーの時代が到来している。

 スマートファクトリーが目指すものづくりから目が離せない。