2024.02.06 【コネクター特集】コネクターメーカー各社にアンケート 電波新聞社まとめ グローバルで積極的に拡大へ

 コネクターメーカー各社は、2024年は23年の停滞から脱し、グローバルでの積極的な事業拡大を目指す。足元の市況は厳しさが続いているが、24年トータルでのコネクター需要は、国内・全世界ともに1桁台の成長を見込む企業が多い。各社は、自動車や産業機器、各種インフラ、新エネルギー関連などの成長分野への展開を強化し、24年度のビジネス成長を目指す。24年度の研究開発費や設備投資計画も積極姿勢がみられている。電波新聞社がこのほど主要コネクターメーカー対象に実施したアンケート調査(回答17社)により、浮き彫りになった。

24年の国内需要、「10%未満の増」が最多

 24年(1~12月)の「国内」および「全世界」のコネクター需要予測を聞いた。

 国内需要では、回答15社中、最も多かったのは「10%未満の増」とした8社で、全体の5割強を占めた。次いで多かったのは「前年並み」の6社で、「減」としたのは1社にとどまった。

 「グローバル需要」についても、回答13社で、最も多かったのは「10%未満の増」とした8社。「前年並み」とした企業が3社で、「2桁以上の増」を予測したのは1社にとどまった。

 コネクターのグローバル需要は、21年と22年は成長が続いたが、23年は前年を下回る厳しい水準で推移した。直近の受注もやや弱含みの状況が続いているが、年後半に向けての回復が期待されている。

24年度売上高計画、3分の2が増

 各社のコネクター部門売上高の23年度見込みと24年度計画を聞いた。

 23年度見込みは、回答12社中、最も多かったのは「10~20%未満の減」と答えた4社。「20%以上の減」と答えた企業もみられ、全体では半数の企業が「減」回答した。「増」としたのは3社にとどまった。23年度は民生機器や産業機器市場の調整局面が続き、売上高が低調に推移している企業が多い。

 24年度計画では、回答11社と母数は少ないが、全体では約3分の2の7社が「増」と回答し、「2桁増」と回答えた企業も2社みられた。24年度の売上高計画も企業によってばらつきはあるが、在庫調整一段落による成長回帰を計画する企業が多い。

24年度設備投資計画は「前年並み」

 24年度のコネクター部門の設備投資計画の質問は、回答10社で、最も多かったのは「前年並み」の5社。全体では4社が「増」と回答し、「減」としたのは1社にとどまった。

 コネクター各社の設備投資は、10年代半ば以降、高水準が継続している。20年度から21年度前半にかけては、コロナ禍での不要不急の投資抑制の動きも一部で見られたが、21年度後半以降は、旺盛な需要や増加する受注残に対応するため、積極投資が実行された。

 足元のコネクター市場はやや弱含みの状況だが、24年度に向けても各社の設備投資意欲は強い。特に、EV(電気自動車)関連などの成長分野に照準を合わせた投資拡大や、サプライチェーンを強靭化(きょうじんか)した生産体制構築のための投資などが重視される。

自動車用販売計画、3割が「2桁以上の増」

 「自動車用コネクターの24年度販売計画」の質問では、回答10社と母数は少ないが、3割の3社が「2桁以上の増」と回答した。全体では「増」とした企業が6割を占め、「減」とした企業はみられなかった。

 車の電子化・電動化の進展で、自動車1台当たりのコネクター搭載数量を今後も増加させる。

 直近の自動車市場では、半導体不足解消に伴う自動車挽回生産が進む一方、Tier1で部品在庫調整なども行われているが、自動車市場は24年度のコネクター市場拡大に向けた最大のけん引役の一つとして期待が高まっている。

営業体制強化、中国と米国が並ぶ

 「海外営業体制拡充を進める国や地域」の質問(複数回答)では、最も多かったのは「中国」と「米国」がそれぞれ36社で並んだ。以下、「インド」「ドイツ」「台湾」「ベトナム」「韓国」と続いている。

 最近は、米中摩擦激化に伴うデカップリングの議論なども行われているが、コネクターメーカー各社の米中市場重視の姿勢に変化はなく、今後も米国市場と中国市場での営業活動強化のための拠点の充実化や人員増強などが進む見通し。

 ただし、昨年8月の同様のアンケートでは、中国が米国を大きく引き離してトップだったのと比較すると、米国市場の重要性が増している結果となった。

 加えて、将来に向けて高い経済成長が期待されているインド市場も重視されている。

中国経済見通しは「分からない」

 「中国経済の低迷がいつ頃まで続くと考えているか」の質問では、回答14社で、企業によって見方が分かれた。最も多かったのが「分からない」と答えた7社で全体の半数に達した。

 中国経済の低迷時期については、「24年3月まで」とした企業がみられる一方で、「25年まで続く」と答えた企業もみられている。

産機市場在庫調整は6、9、12月までに分かれる

 「産業機器市場の在庫調整局面はいつごろまで続くと考えているか」についての質問では、回答は14社で、企業によって見方が分かれた。回答が多かったのは、「24年6月まで」「24年9月まで」「24年12月まで」がそれぞれ3社ずつとなった。

 「25年以降も続く」とした企業はみられなかったが、「分からない」と答えた企業も4社に達した。

社内体制見直し「Web活用の活動強化」

 「地政学リスクやBCP(事業継続計画)などを見据えた社内体制の見直し・強化」(複数回答)などについての取り組みを聞いた。

 回答14社で、最も多かったのは、「Webを活用した営業・プロモーション活動強化」。2番目が「国内生産強化」。以下、「生産拠点のグローバルでの分散化」「サプライチェーンの見直し・変更」「グローバル物流体制の強化」となっている。

 全体として、サプライチェーンの強靭化に向けた国内外生産体制最適化に力を注いでいる企業が多い。

30年に向けての注力分野はロボット、次世代自動車

 「2030年に向けて注力していく分野」(複数回答)について聞いた。

 回答15社で、最も多かったのは「ロボット(産業用/非産業用)」の50ポイント。2位は僅差で「次世代自動車」が48ポイントで続いた。

 以下、「次世代インフラ」「航空宇宙・防衛関連」「カーボンニュートラル関連」「医療用機器」「次世代携帯端末」の順となっている。

 全体として、車載・産機関連を中長期の事業拡大に向けた注力分野に掲げている企業が多い。

アンケート回答企業一覧

 ▽I-PEX▽イリソ電子工業▽SMK▽オータックス▽京セラ▽ケル▽小峰無線電機▽サムテックジャパン▽TE Connectivity▽七星科学研究所▽日本航空電子工業▽日本端子▽ハーティング▽ヒロセ電機▽ホシデン▽山一電機▽ヨコオ。(17社/五十音順)