2024.02.27 【複合機ソリューション特集】複合機ソリューション 複合機とクラウド連携でDX支援

電帳法対応はこれからが本番だ

富士フイルムBIジャパンのイベントの模様富士フイルムBIジャパンのイベントの模様

 事務機各社では、複合機と連携したソリューション提案を強化している。働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)も進展し、さらに昨年10月からのインボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入や今年1月から改正電子帳簿保存法(電帳法)の義務化などの法令改正も、企業のデジタル化促進の契機として期待されている。特に中小企業では、まだまだDX化が遅れているのが現状だ。各社では、複合機とクラウドサービスの連携などを通じて、企業の業務改革支援などに力を入れる。

 DX化が叫ばれる中で慢性的な人手不足、特に専任IT人材がいない中小企業のDX化は、まだ進展していない。

 富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)ジャパンの大森章司販売推進部販売促進室長は「電帳法やインボイス制度などの法令対応はしたが、運用面ではルールがばらばらで、逆に紙が増えてしまうケースも増えている。法令改正の案件でもまだまだお手伝いするところは多い」と話す。

 「中小企業白書」でも、「デジタル化の必要性を感じている」が66.0%だったのに対し、「デジタル化による変革や競争力強化に取り組んでいる」は、10.2%にとどまっている状況だ。

 リコーとリコージャパンが顧客2700人を対象にしたDX調査でもDXが必要だと感じているものの、実際にDXへ取り組んでいるケースは2割弱だった。リコージャパンでは「DXに対する知識不足やIT人材不足が要因になっている」とみている。

中小企業導入進む

 こうした中、各社では中小企業が導入しやすいソリューションなどに注力し、好評を得ているものが増えている。

 リコーでは、中小企業向け「スクラムパッケージ」、中堅企業向け「スクラムアセット」のスクラムシリーズが、計画を大きく上回って販売を伸ばしており、2023年度上期の売上高は前年同期比159%、累計販売本数も36万本を突破した。また、カスタマイズできるローコード開発ツール「RICOH kintone plus」が好調だ。プログラミングなしでデータベースの作成ができるなど、業務改善をすぐに実行できる業務アプリケーションツールだが、同社の複合機との連携や、API連携で外部サービスとの連携が可能。お客のドキュメントを利活用し、業務の代替とお客とともに、価値創造を実現する「仕事のAI」などを提案している。

 富士フイルムBIは昨年11月から、DXを加速するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」を提供開始した。複合機との連携でDX化を推進する。主に中堅・中小企業を対象に「27年度までに国内で1万社への導入を計画する。同社は、ビジネスソリューション事業のフィロソフィー「CHX(カストマー・ハッピー・エクスペリエンス)」を設定し、顧客の成功体験を実現するソリューション・サービスを強化。第1弾として、中堅・中小企業のIT運用・管理業務を「IT Expert Services」を提供開始し、IWproでDX支援をさらに加速させる。

 また、富士フイルムBIジャパンが成功事例を導入しやすいパッケージとして提案している「Bridge DX Library」も対象業種を増やし、ラインアップも約150種に拡充している。

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)では、中小企業向けIT支援サービス「HOME」やNIコンサルティングとの戦略的業務提携による「NI Collabo」シリーズを強化。「まかせてIT DXシリーズ」では、中小企業のDX実現に向け、セキュリティーや保守・運用サービスに加え、「経営支援サービス」「教育支援サービス」などにより、IT投資計画から人材育成まで支援、競争力強化につなげている。今月からは業種ソリューションとして、介護ソリューションを提供開始している。

 また、業務改革とDXを支援するソリューションとして「DigitalWork Accelerator」に注力。電帳法やインボイス制度に対応している。

 コニカミノルタジャパンでも、成功事例をパッケージ化したDX支援「サクセスパック」を発売して現在、約300ソリューションをラインアップしている。「働きやすい環境支援」では、オフィスソリューショ事業やDXソリューション事業などを通じて「いつでもどこでも働ける環境づくり」に注力する。同社では、特に中小企業をターゲットにITサービスと複合機、文書管理の連携、同社が注力するオフィス設計・デザインといった空間デザインなどに力を入れている。

 エプソン販売は、オフィスの中心機種のA3カラー複合機「エプソンのスマートチャージ」で、「環境への意識が高い企業や医療、サービス業、官公庁、税理士事務所などプリントニーズが高く、環境価値の効果が出やすい業種なども対象に販売を強化」(福田雄一郎販売推進本部副本部長)している。

 東芝テックは、複合機本体と専用連携アプリ「e-BRIDGE Plus for Collastorage」で、クラウドストレージサービスを拡大する。

 シャープもスマートオフィスサービス「COCORO OFFICE」と複合機の連携を強化し、電帳法などに対応したクラウドストレージサービスに力を入れる。

 京セラドキュメントソリューションズジャパン、ブラザー販売などもDXソリューションに注力している。