2024.04.04 台湾の半導体生産、地震で一時停止も復旧へ 日系企業の被害は軽微か
台湾東部を震源に、3日発生した地震はマグニチュード7.2を観測。花蓮県や北東部の宜蘭県、北部の台北市などで強い揺れがあり、死傷者が出たほか倒壊建物からの救出活動が続く。
この25年間で最大規模の地震に見舞われた台湾だが、各半導体メーカーでは操業の一時停止や装置の点検確認と復旧が進む。一方で業界最大手TSMC(台湾積体電路製造)への極端な依存を減らすべきとの声も欧州メーカーから出ている。
新竹サイエンスパーク(科学園区)で操業しているTSMCは地震発生直後に一部の生産ラインを止め、装置の点検に入った。パイプラインの破損など一部影響を受けたものの、EUV(極端紫外線)露光装置を含め基幹装置に大きな損害はなかったとしている。
台南市にある同社の工場「N3」ではEUV露光装置の操作を中断、R&D研究所の壁が落下した。全体では地震発生後10時間以内のウエハー製造装置の回復率は70%、台南市に新設の工場「ファブ18」は80%まで回復したという。
同社は1999年のM7.7、死者2400人超の地震以降、地震対策を強化、今回の地震でも教訓を生かしたと説明している。
半導体メーカー聯華電子(UMC)も新竹科学園区で操業しているが、一時停止と従業員の避難を余儀なくされたが大きな被害はなさそう。
地震の報を受け、サプライチェーンに影響が出ると不安視する声が欧州から出てきた。EU(欧州連合)は2023年に「欧州半導体法」を成立させ、域内での半導体生産奨励策を進める。特定メーカーからの輸入依存度を下げるためで、欧州の自動車メーカーからも供給源を増やすべきとの声も出始めた。
台湾で事業展開する日系電子部品メーカーも対応に追われたが、影響は今のところ軽微のようだ。
コンデンサーを製造する日本ケミコンの台湾工場「台湾佳美工股份有限公司」(南投県)は、人的被害はなく工場は安全点検の後、稼働を再開した。
コネクターを製造する日本航空電子工業の台湾工場「JAE台湾」(台中市)も通常稼働している。
東京エレクトロン台湾本社(新竹市東区)と林口、台中、台南の台湾4地域の拠点について同社は、人的被害は確認されていないとし、建屋について一部損傷は確認されたが、長期化する影響はないとしている。(5日付電波新聞、電波新聞デジタルで詳報します)