2024.04.08 日本財団がゼロエミ実証に成功 洋上風車作業船を約30キロ運航

ゼロエミッションの運航を行った「HANARIA」(提供=日本財団)

 日本財団は「ゼロエミッション船プロジェクト」の一環として、3月26日~4月4日に北九州市小倉港で水素燃料電池を搭載した洋上風車作業船「HANARIA(ハナリア)」の運航の実証に成功し、海のゼロエミッション化の第一歩を踏み出した。水素専焼エンジンを搭載したゼロエミッション船の開発実証は2026年度を予定する。

 今回の実証実験では、洋上風力発電施設への人員輸送や関係者の現地視察・見学などに利用できる旅客船に水素燃料システムを搭載。水素燃料電池を主要な動力源とし、リチウムイオンバッテリー(LiB)、バイオディーゼル燃料を補助動力源とする。PMS(パワーマネジメントシステム)を搭載しており、状況に応じて、水素燃料電池とLiBを使う「ゼロエミモード」と、三つを使用する「通常モード」を選択して航行する。結果として、小倉港-白島沖洋上風力発電施設間の往復約30キロメートルを燃料電池とLiBのみで航行できた。

 日本財団によると、水素燃料電池を搭載した洋上風車作業船によるゼロエミ実証例は世界初という。

 記者発表会で日本財団の海野光行常務理事は「ゼロエミッション船はカーボンニュートラル社会実現の切り札となるもの。日本の高い技術力で、世界の船舶のゼロエミッション化をけん引していきたい」と力を込めた。(9日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)