2024.04.12 【やさしい業界知識】人工知能(AI)

世界規模で開発競争が過熱
生成AI登場で急拡大

 人間のように学習したり判断したりできる人工知能(AI=Artificial Intelligence)。デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める上で、AIは欠かせないツールとなり、分野の垣根を越えて活用の幅が広がり続けている。

 特に、文章や画像、音声などさまざまなコンテンツを自動で作り出す生成AIはインターネット以来の発明ともいわれる革新的な技術で、急速に普及している。

米各社も活発化

 火付け役となった米新興企業のオープンAIが開発した生成AI「Chat(チャット)GPT」が2022年11月末に公開されて以来、米巨大IT各社の動きも活発化した。マイクロソフトは、オープンAIの生成AIをクラウドサービス「Azure(アジュール)」上で利用できるサービスを展開するほか、グーグルは昨年12月に次世代生成AIモデル「Gemini(ジェミニ)」を公開。今月9日には、生成AIを使った動画作成サービス「Vids(ビズ)」を開発したと発表したばかりだ。

 米企業主導で生成AIが拡大する中、巻き返しを狙う日本企業の開発競争も過熱している。

 生成AIは、大量のデータを深層学習することで文章の作成や要約などをできるようにする「大規模言語モデル(LLM)」と呼ばれるAI技術が基盤として使われている。ただ、チャットGPTをはじめ、海外製LLMは英語を中心に学習させているため、日本語の精度が低いことが課題だった。

 NECは日本語特化のLLMをいち早く商用化し、7月から一部サービスを開始。「cotomi(コトミ)」と名付けたこのLLMを使い、各業種・業務のノウハウを生かした「特化モデル」を整備し、医療や金融などの幅広い業種の変革を支援したい考えだ。

主導権争い激化

 国内通信大手各社の主導権争いも激化している。NTTは昨年11月、日本語に特化した独自LLM「tsuzumi(ツヅミ)」の開発を発表し、3月から企業向けのサービスの提供を始めた。KDDIも3月、東京大学発のスタートアップ企業「ELYZA(イライザ)」を子会社化して生成AIに参入。ソフトバンクも2024年度中に国内最大級の生成AIを完成させる予定だ。

拡大する世界需要

 電子情報技術産業協会(JEITA)が昨年12月に公表した「生成AI市場の世界需要額見通し」によると、23年に106億ドル(約1兆5000億円)に達した世界の需要額は、30年には約20倍の2110億ドルにまで成長する見込みだ。

 日本市場は30年に、現在の15倍となる1兆7774億円に拡大すると予測する。アプリケーションが急速に普及するとともに、専門分野向け生成AIの活用ニーズも拡大し、徐々に応用範囲が広がるとの見方を示す。

 一方で、学習データの偏りによる差別などの倫理的な問題や生成物の真偽、著作権の明確化といった解決すべき課題も存在する。利用する側もリテラシー向上を含めた責任ある対応が求められる。

(毎週金曜日掲載)