2024.04.19 OKIがスリープテックに本格参入 行動変容サービスを発売
クラウド型睡眠改善新サービスを発表するOKIの藤原執行役員(中央)、武市氏(左)と京都大学の石見教授
OKIが「中期経営計画2025」に基づく「イノベーション戦略2025」で注力領域の一つに掲げるヘルス・医療分野で、スリープテック事業に本格参入する。新たに独自開発した行動変容プラットフォーム「Wellbit(ウェルビット)」を活用した行動変容サービス「Wellbit Sleep」の販売を開始した。
同社は、将来事業創出戦略の一環として、「イノベーション戦略2025」を推進。高度遠隔運用、物流、ヘルスケア・医療、半導体接合技術CFB(クリスタル・フィルム・ボンディング)の4領域をイノベーション注力領域と設定して、事業化と事業拡大を進め、「2031年をターゲットに500億円以上の事業創出」(藤原雄彦執行役員イノベーション責任者)を目指している。
ヘルスケア・医療領域では、高い成長性が見込まれる健康経営市場に着目。「社会実装で培ったリアルタイム技術を強みにソリューションを拡大していく」(同)戦略だ。健康経営企業や学校、保険会社に、生活・医療・介護支援分野などでソリューションを提供し、ヘルスケア・医療分野で「28年度までに年間30億円の事業規模を計画する」(同)。
新たに開発したWellbitは、スマートフォンやIoTセンサーなどから収集した利用者の行動や環境の時系列データを分析し、利用者の意識と行動に変化をもたらすソフトウエアプラットフォーム。Wellbitを活用し、運動や睡眠などの健康的な生活習慣を支援するサービスの開発と商品化を進めていく。
今回、この第1弾として睡眠習慣を改善する行動変容サービスWellbit Sleepの販売を開始した。同サービスは、利用者がLINEなどのスマホアプリに日々の睡眠時間や睡眠に関するアンケートを入力することで、パーソナライズされた行動アドバイスのメッセージを受け取ることができるクラウドサービス。
20年度から京都大学およびヘルステック研究所との共同研究を開始し、スマホを活用して健康的な睡眠習慣を支援するアプリを共同開発、京都大学で睡眠に問題意識を持った労働者を対象とした臨床試験を実施してきた。
生産性向上を確認
Wellbit Sleepには、共同研究の成果である睡眠医学の知見「メッセージ規則」を搭載している。京都大学の臨床試験では、睡眠の自覚が改善されることを確認したほか、23年度に行ったOKIグループの社員200人を対象に実施した4週間の試験利用では、実験参加者全体の生産性向上を確認している。
新サービスについて、OKIのイノベーション開発センタービジネス開発部の武市梓佐氏は「健康無関心層への効果的な働き掛けを実現することで、〝気付いたら健康になっていた〟という人を増やしたい」と話す。
OKIとの共同研究の成果について、京都大学の予防医療学分野が専門の石見拓教授は「日本人の4割近くが睡眠負債を抱えている。OKIの持つ適切なタイミングで適切なメッセージを届けるプロンプト技術と京都大学とヘルステック研究所が有するPHR(パーソナルヘルスレコード)により、効果的なアプリケーションとなった」と語る。
OKIでは、健康増進サービスを提供しているサービス事業者向けに、6月からサービス提供を開始する。