2024.04.25 「当たり前なものほど使い方に誤り」 防災踏まえた家電利用、“街の電器屋さん”に相談相次ぐ

アキヨシ電器には感震ブレーカーの相談が多く寄せられている

内装を生かした個性的な商品提案も(スザキ)内装を生かした個性的な商品提案も(スザキ)

 「街の電器屋さん」とも呼ばれる地域電器店は、顧客と密接に関わることができるのが強みだ。顧客から個別に相談を受け、それに応じて提案を行う。そうした地域店に今、家電製品を安心して使いたいという要望が多く寄せられるようになってきている。1月1日の能登半島地震をきっかけに防災への意識も高まっており、これまで以上に安心と安全を意識した商品提案を行うようになっている。

相談の事例

 日立の家電品を販売するデンキカン・サカイ(石川県羽咋市、坂井忍社長)では、1月1日の能登半島地震発生以降、ペンダントライトからシーリングライトへ買い替える顧客が増加している。坂井社長は「『ペンダントライトは揺れて怖い』といって、全てシーリングライトに買い替えたお客さまもいた」と話す。

 アキヨシ電器(神奈川県鎌倉市、秋山好幸社長)の秋山社長は「通電火災が一番怖いため、停電後の電気復旧の際に役立つ感震ブレーカーを提案している」と話す。感震ブレーカーと感震ブレーカー付き住宅分電盤の問い合わせが急増しているからだ。そのため、一定の強さの揺れを検知するとブレーカーの電源が落ちるパナソニックの感震ブレーカーを中心に提案している。通常は発注から4日後ほどには入荷するが、納期が1カ月以内まで延びている商品もある。

 日立製品の販売店であるスザキ(さいたま市南区、須﨑正隆社長)もブレーカーの相談を受けた1店だ。太陽光発電パネルと、電気自動車(EV)に貯めた電力を自宅でも使えるようにする「V2H」を導入していた顧客からで、寒い夜の帰宅後にEVを充電しながら暖房器具と電子レンジを使ったところ、ブレーカーが落ちたという。須﨑社長は「お客さまの多くはEVや家電製品がどれほどの電気を使っているか分かっていない」とし、相談の連絡を受けた顧客に、EVや暖房器具、電子レンジなど消費電力量の大きい製品の説明をして使用の注意を促した。

安全な使い方の周知へ

 電気製品は使い方を誤ると事故につながることもある。秋山社長は正しい家電製品の使い方の周知活動にも取り組んでいる。誤ってガスの火にかけられ底が溶けた炊飯器を得意客から引き取り展示。事故の原因を説明して安全な使い方を伝えている。

 ある電池メーカー関係者も「電池など当たり前に使うものほど使用を誤り、事故になることがある」と話す。家電製品の使い勝手が良くなり簡単に使えるようになった今は、安全・快適に家電製品を使ってもらうような説明が「街の電器屋さん」にも求められる。