2024.04.26 【やさしい業界知識】変換部品

かつての「機能部品」、用途拡大

生産体制の中心は海外工場へ

 変換部品には、電気信号を回転運動などの機械エネルギーに変換するモーター、電気信号を音(空気振動)に変換するスピーカーユニット、温度や圧力を検知して電気信号に変換するセンサーなどがある。かつては「機能部品」と総称されていたが、その後、名称が変更された。

 対象製品は、磁気ヘッド、小型モーター、センサー、アクチュエーター、スピーカー、イヤホン、光ピックアップなど。

 以前は音響機器が需要の主体だったが、近年は映像機器やパソコン・周辺機器、スマートフォン・タブレット端末などの情報通信機器、アミューズメント機器、事務機器、産業機器、カーAV機器/自動車電装システムなど用途が拡大している。

前年は出荷微減

 電子情報技術産業協会(JEITA)の統計によると、2023年累計(1~12月)での変換部品グローバル出荷額は前年比0.3%減の7057億円となり、微減ながら3年ぶりに前年比マイナスとなった。内訳は、音響部品が300億円、センサーが2385億円、アクチュエーターが4363億円。

 近年の変換部品市場は、車載用モーターやスマホ用ヘッドホンなどが需要をけん引してきたが、最近はスマホ同梱(どうこん)ヘッドホンの需要減少などから、特に音響部品の出荷が減少している。

 18年以降は、米中貿易摩擦激化の影響を受けたほか、20年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動停滞なども変換部品需要に影響した。21年は新型コロナ影響からの経済回復などにより高い伸びとなり、22年、23年はほぼ横ばいでの推移となっている。

 アクチュエーターは、車載用や産業用などで小型モーターの需要が増加しているほか、スマホのオートフォーカス(AF)機能付きカメラのレンズ駆動用に、ボイスコイルモーター(BCMアクチュエーター)の需要が増加している。

 センサーは、電子機器や製造装置、ロボット、自動車の高機能化を背景に、イメージセンサーやモーションセンサー、位置センサー、圧力センサー、温湿度センサーなどの需要が増加している。

 生産体制面では、大半の製品分野で重点が海外工場にシフトされている。このため、日系企業による音響部品や小型モーターの生産は、グローバル生産が拡大する一方、国内生産は長期低落傾向にある。

グローバル化

 特に、小型モーターは国内メーカーの海外生産比率が9割を超えるとされ、全量を海外生産化している企業もみられる。今後も変換部品は、中華圏・ASEAN地域を中心とする海外工場での生産能力増強、現地設計機能拡充など、よりグローバル化が進展していく見通し。近年は、自動車業界の地産地消ニーズの高まりを反映し、米州地域や欧州地域などに新工場を新設する変換部品メーカーもみられる。

進む技術革新

 製品開発面では、小型モーターは、小型・軽量化や高トルク化、高効率化、低騒音化などが進展。磁気ヘッドは、HDDの大容量化や高記録密度化に対応した技術革新が進展している。音響部品は、スマホ用MEMSマイクロホンや、ワイヤレスヘッドホンなどの需要増大が期待されている。(毎週金曜日掲載)