2024.05.09 5G拡大に本腰 ソフトバンクとKDDI、基地局共同構築を全国で 楽天は関東エリアを1.6倍に
ソフトバンクとKDDIは5G基地局の共同構築の取り組みを強化(ソフトバンク提供)
普及の遅れが指摘される高速通信規格5Gの拡大に向け、通信各社の動きが活発化してきた。8日にはソフトバンクとKDDIが5G基地局を共同構築する取り組みを地方から全国に拡大すると発表。楽天モバイルは関東地方の5Gエリアを2024年内に最大1.6倍まで広げる一方で、「プラチナバンド」と呼ばれる700メガヘルツ帯の商用化を急ぐ。
ソフトバンクとKDDIは、5Gの商用サービスがスタートした直後の20年4月に合弁会社「5G JAPAN」を設立。合弁会社を通じてこれまでに1社当たり3万8000局超の基地局を共同構築し、それぞれ450億円の設備投資コストの削減につなげた。今回の協業範囲の拡大により、30年度までに1社当たり累計10万局の基地局を共同構築し、それぞれ累計1200億円の設備投資コスト削減を目指す。
今後はエリアや通信方式の拡大に加え、基地局建設の工法や工事仕様の共通化のほか、部材の共同調達についても連携を深める。24年度に各種技術検討とトライアルを開始し、26年度から協業範囲の拡大を本格化する。
楽天モバイルは、共用帯域の衛星通信との干渉調整条件の緩和で、関東地方の既存5G基地局の電波出力アップが可能になった。それに伴い、5月から5Gに割り当てられた「Sub6(サブシックス、3.7ギガヘルツ帯)」と呼ばれる周波数帯のカバーエリアを順次拡張する。
同社は、20年9月に5Gサービスの提供を開始し、23年12月末時点で47都道府県に計1万1592局の5G屋外基地局を展開。その一方、力を入れるのがプラチナバンドの活用で、昨年10月に総務省から700メガヘルツ帯の周波数帯の割り当てを受け、総額544億円を追加投資して基地局整備などを進めている。
プラチナバンドは屋内や地下でも届きやすい一方、テレビ放送などに使われる電波との干渉を避けるため、これまで使われていなかった。今後、試験電波による検証を経て、商用サービス化の準備を進める。三木谷浩史会長兼社長は「プラチナバンドは既存基地局を活用して低コストで展開できる」と述べている。
(10日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)