2024.05.17 【やさしい業界知識】コネクター

広い用途で需要増の「接続部品」

小型化・高速化製品の開発進展

 コネクターは、回路または機器などの相互間を電気的に接続する機構部品・端子。スイッチなどとともに、「接続部品」として分類されている。

 形状によって丸型、角型、高周波同軸、光、プリント基板用などに分かれる。機器の信頼性、回路設計の柔軟性などの面から、はんだ接続を代替する形で機械工業のエレクトロニクス化とともに需要が増加している。

 コネクターの用途は広く、スマートフォンやタブレット端末、ウエアラブル端末等のモバイル機器をはじめ、パソコン/コンピューター関連、音響・映像機器、白物家電/住設機器、事務機器、FA機器/製造装置、通信インフラ、計測器、データセンター、照明器具、自動車、電力システム、医療機器/ヘルスケア関連、航空宇宙関連、防衛関連などあらゆる工業製品分野で使用される。

自動車などけん引

 特に近年は、自動車の電子化・電動化の進展や、高機能モバイル端末の世界的な普及拡大、FA機器/半導体製造装置市場の拡大、サーバー/データセンター需要の増大などが、コネクターのグローバル需要をけん引している。

 電子情報技術産業協会(JEITA)統計によると、2023年累計(1~12月)のコネクターのグローバル出荷額は前年比10・5%減の5963億円。産機・民生需要の低迷や顧客在庫調整の長期化などが響き、3年ぶりに前年比マイナスとなった。

 コネクターの製品開発面では、セットの小型薄型化、軽量化、高密度実装化や(信号の)高速化に対応した新製品開発、品種拡充の動きが目覚ましい。カスタム仕様品の販売比率も高く、低背化、狭ピッチ化、省スペース化、SMT対応、防水・防じん対応などの新製品開発が進んでいる。

大電流・高耐圧対応

 車載用や産業用では、大電流・高耐圧対応品の技術開発も進展しており、車載用では、エンジンルーム内での用途向けに耐熱125度対応品などの開発も進んでいる。太陽光発電システムなどのエネルギー関連用途では、1000V対応などの高耐圧品も製品化されている。通信インフラやサーバー、ストレージ機器等に使用される高速伝送・高周波対応コネクターでは、100ギガヘルツなどの高周波帯域に対応するコネクターなども開発されている。

 機器内接続用の微細精密コネクターは、スマホ用を中心に、超低背・狭ピッチ・省スペース化が追求され、基板対基板コネクターでは主流が0.35ミリピッチ品に移行。FPC用コネクターでは、0.2ミリピッチを切るファインピッチ品なども製品化されている。狭ピッチ・低背コネクター開発では、自動実装機に対応するための機械的強度なども重要視される。スマホ内蔵用コネクターでは日系コネクター企業が世界でも高いシェアを有している。

光伝送用の製品化

 USB/HDMIなどの高速インターフェース用コネクターや、メモリーカード用ソケット、光伝送用の光コネクターなどの製品化も活発である。高信頼性が要求される用途では、コネクター単体供給ではなく、高速伝送用ケーブルと一体化したハーネス形状での供給に力を入れるコネクターメーカーも多い。(毎週金曜日掲載)