2024.05.24 【やさしい業界知識】洗濯機

ドラム式へ関心が高まる

家事負担軽減や清潔ニーズで

 洗濯機は、暮らしの清潔・快適に欠かせない白物家電の主要製品の一つで、ほぼ各世帯に行き渡る必需品として定着している。

 近年、共働き世帯の増加で家事負担の軽減へのニーズが高まる中、洗濯から乾燥まで一気に仕上げる洗濯乾燥機への関心が高まり、とりわけドラム式洗濯乾燥機への関心が高まっている。

 新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、清潔意識が高まり、洗濯頻度も増えたこともあって、洗濯機には高い洗浄力やクロカビ対策など清潔機能へも注目が集まっている。

 主要耐久消費財に関する内閣府の調査では、洗濯機の平均使用年数は10年強で、買い替え時期を迎えるユーザーの需要が顕在化し、毎年ほぼ安定した需要が見込める。

 ただ、コロナ禍の巣ごもり消費の拡大があった2020年度以降はマイナス成長している。

 2020年度の洗濯機総需要は、前年比5.2%増の487万7000台(日本電機工業会=JEMA調べ)と拡大している。

 その後、21年度は456万3000台(前年度比93.6%)、22年度が同94%の429万台、23年度も同96.7%の415万台と3年連続マイナスで推移し、24年度は415万1000台と微増の見通しだ(JEMA予測)。

 近年のマイナス成長は、巣ごもり需要の反動もあるが、直近では電気代を含め諸物価の高騰の影響も加わったとみられる。

 こうした中で、家事負担軽減ニーズや清潔意識の高まりから節水性や乾燥性能に優れる「ドラム式洗濯乾燥機」が注目されている。

ドラム式過去最高

 縦型を含む洗濯乾燥機全体で23年度はマイナスとなったものの、「ドラム式洗濯乾燥機」だけは、前年比101.9%の95万9000台とプラスで推移、年度として4年連続で過去最高の出荷台数を更新しているという(JEMA調べ)。

 洗濯機は、二槽式洗濯機、全自動洗濯機、洗濯乾燥機とさまざまな種類があり、約9割を全自動洗濯機・洗濯乾燥機が占める。

 洗濯から乾燥まで仕上げる付加価値の高い洗濯乾燥機は、電気洗濯機全体のうち台数ベースで約3割を占め、金額構成比では5割を超える。年々着実に構成比は高まっている。

 洗濯乾燥機は、洗濯から乾燥まで全自動で一気に仕上げ、家事負担軽減につながる。共働き世帯が増加する中で、家事負担は全体的に増加し、コロナ禍以降の清潔意識の高まりで洗濯頻度も増えたため、時短・省力化につながる洗濯乾燥機、中でもドラム式が注目されている。

使い勝手も向上

 なお洗濯機は、節水性能、洗浄力など基本性能が年々向上。洗剤・柔軟剤自動投入機能など使い勝手の良さも進化している。サニタリー空間に映える洗練されたデザイン性への配慮も進む。

 また、清潔ニーズの高まりを背景に、銀イオン搭載や槽洗浄機能の向上など、洗濯槽の清潔性に配慮した開発が進む。エネルギー消費が多い乾燥の省エネではドラム式洗濯乾燥機でのヒートポンプ乾燥方式の導入も進む。

 さらにIoT機能搭載で、外出先からの操作や、洗濯終了のプッシュ通知、洗剤・柔軟剤の自動発注まで、より利便性が高い機能を持つ製品も登場している。

(毎週金曜日掲載)