2024.06.07 【育成のとびら】〈27〉2024新卒社員の価値観 仕事へのやる気度「高い」が8割

 論語に「子曰わく、後生畏るべし。焉(いずく)んぞ来者の今に如(し)かざるを知らんや」という一節があるらしい。「青年(=若者)は恐るべきだ。これからの人が今の自分に及ばないなどとどうして分かるものか」という意味だそうだ。

 裏を返せば、孔子の時代から多くの年長者はつい「今時の若者は……」と、若者の考えや行動を否定したり、軽んじたりしてきたのかもしれない。いつの時代も若い世代の考え方や行動は、先輩たちの興味をそそるともいえる。

 2024年度の新卒社員は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行後、企業が初めて迎える、いわば「アフターコロナ第一世代」になる。学生時代、青春時代をコロナ禍で大きく制限されてきた世代でもある。

 そんな彼らは、仕事に対してどのような価値観を持って、どのように成長していきたいと考えているのだろうか。

 当社ALL DIFFERENTとラーニングイノベーション総合研究所は24年3月28日~4月11日、24年入社の新入社員4227人を対象に「新入社員意識調査」を行った。

 その中で「これからの仕事に『やるぞ!』という気持ちをどの程度持っているか」をパーセンテージで表してもらったところ、「やる気度70~100%」という高い数値を選んだ割合が82.0%だった(図)。

 予想以上に高いと感じた方も少なくないのではないだろうか。

半数が「定時退社」希望

 一方、今後3年間の働き方について質問したところ、「定時に帰りたい」と答えた割合は過去最高の48.2%となった。「仕事・成長のためにできるだけたくさん働きたい」と答えた割合は8.5%で10年前の半分以下だった。

 「若いうちは、人一倍働いて仕事を覚えるべきだ」と考える読者ならば、先ほどのやる気に関する回答と矛盾した結果だととらえるかもしれない。しかし、時間効率を重視する今の〝タイパ(タイムパフォーマンス)世代〟にとっては、仕事への取り組み意欲が高いことと短い労働時間を望むことは背反しないということが調査からもみてとれる。

期待など伝える

 その価値観を受け止めた上で、入社時に持っていた高い意欲を生かし、仕事での成長につなげるためには、それぞれの業務の意義や意味、求められている成果、そこから得られる成長への期待などを伝えることが重要になることは本連載で再三伝えてきた。もちろん達成に向けた計画的な業務アサイン(任命)も欠かせない。

 取り組み意欲の高い新入社員を「畏るべき」存在へ成長させる育成体制が構築できているか、今一度見直してみてはいかがだろうか。(つづく)

 〈執筆構成=ALL DIFFERENT〉

 【次回は6月第4週に掲載予定】