2024.06.27 【複合機&プリンターソリューション特集】東芝テック クラウドストレージサービスと連携 セキュリティー強化も

「e-STUDIO」シリーズ

 東芝テックは、市場環境が厳しい中、2023年度下期も前年同期を上回って推移した。伊藤智紀ワークプレイス・ソリューション事業本部国内営業統括部統括部長は「ビジネスパートナーを中心にしたリプレース需要に加え、注力しているソリューション展開が好調で上乗せになった」と話す。24年度も複合機本体とクラウドストレージサービス「Collastorage(コラストレージ)」との連携強化で、前年実績を上回る伸長を目指す。

 カラー複合機「e-STUDIO」シリーズは、従来の13モデルに加え、2月にA3カラー複合機の新モデル「e-STUDIO2021AC」を発売開始し、ラインアップを強化した。同製品は、e-STUDIOシリーズのコンセプト「Workstyle Renovation(ワークスタイルリノベーション)」を継承し、複合機の利用シーンをオフィスに限定することなく、多様化するワークスタイルに対応している。

 クラウドサービスやアプリケーションとの連携機能に加え、新たにセキュリティー強化に有効なIPP-PIN印刷機能や送信ファクスに記載する自局名称などの項目を設定する機能を実装した。

 同社は、複合機本体とクラウドストレージサービスCollastorageとの連携サービスを強化している。「プリントボリュームの減少をソリューションでカバーしていく」(伊藤統括部長)戦略だ。

 「クラウドサービスとの連携強化は、多様な働き方に加え、セキュリティー、災害対策などBCP(事業継続計画)の観点からも重要」(伊藤統括部長)として、Collastorageを強化、契約数の拡大を目指している。このため、他社連携も積極的に行っている。

 3月には、e-STUDIOシリーズの専用連携アプリケーション「e-BRIDGE Plus for Collastorage」と連携可能なクラウドストレージサービスを拡大した。

 今後も、Collastorageの機能強化を、戦略の柱に据える。AI(人工知能)により、オフィス業務の効率化を実現していく機能などを、7月以降にリリースする計画だ。

 同社は昨年、業界初のRFIDライター対応のA3カラー複合機「e-STUDIO4525AC RFID」を投入した。同社は小売業、製造業、物流業向けを中心として、RFIDに関する多くのハードウエアやソフトウエアを開発、販売してきている。今後、小売業、製造業、物流業、さらに医療などさまざまな現場への導入を図っていく計画だ。

 また、複合機のソリューション連携の一つに、「特殊紙への対応力」がある。従来の紙と比べ環境負荷を軽減できる石灰石を主原料とした「LIMEX(ライメックス)」素材への印刷も可能だ。今後も、特殊紙への対応の幅を広げることで、他社との差別化を図っていく。