2024.06.27 【複合機&プリンターソリューション特集】脱炭素の取り組み加速

エプソンは今年の秋に新型オフィス製紙機を発売

富士フイルムBIは環境の体験型施設を開設富士フイルムBIは環境の体験型施設を開設

各社、実現へ目標を設定

事業成長と環境対策の両軸で

 事務機大手各社が、脱炭素化などカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速している。各社は、事業成長と環境対策の両軸での展開に拍車をかけている。

 リコーは、脱炭素目標の大幅な見直しを行った。新たに2040年目標を設定し、温室効果ガス(GHG)実質排出ゼロの達成、事業活動における使用電力の100%再生可能エネルギーへの移行を従来の50年から10年早めた。

 排出量を自助努力で基準年比90%削減し、残余排出量については、国際的に認められる方法でオフセットすることで実質ゼロを達成する。

 同社は、17年4月に日本企業として初めて国際イニシアチブRE100に参加するなど環境対策を強化している。23年度省エネ大賞では、重合トナープロセスで大幅な省エネ達成を実現した沼津事業所が省エネ事例部門経済産業大臣賞を、また、製品・ビジネスモデル部門でフルカラー複合機が省エネルギーセンター会長賞を受賞している。

 キヤノンは、08年から製品1台当たりのライフサイクルCO2を、年平均で3%改善する目標を掲げ、23年までの累計で44.4%の改善を実現。30年には08年比で50%の改善、50年までに製品ライフサイクル全体でのCO₂排出量をネットゼロにすることを目指している。また、このほど、プリンティング事業の主力製品であるオフィス複合機、家庭用インクジェットプリンター、大判インクジェットプリンターのアジアの生産拠点5カ所で使用電力全てを再エネ化に移行した。

 富士フイルムグループでは、40年度までに自社で使用するエネルギー起因のCO₂排出を実質的にゼロとする目標を立てている。富士フイルムBIは、国内外生産拠点の脱炭素化を加速。事業活動で消費するエネルギーの削減、太陽光発電の導入など自社による再エネの創出、再エネ証書購入などを環境対策の柱に据えている。富山事業所で、高い環境性能を誇るSuper EA-Ecoトナーの製造ラインを増設、国内オフィス拠点では初となるカーボンニュートラルオフィス(東京・新宿)を実現している。また、日本で培った資源循環の技術、システムを欧州に展開する。富士フイルムのオランダの生産拠点の敷地内に、欧州地域での資源循環を促進する生産拠点を開設、第1弾として、欧州で販売する複合機の使用済みトナーカートリッジを回収し、再生する。新拠点の稼働は6月から開始し、欧州での資源循環規制強化の動きにも対応する。

 また、先ごろ横浜みなとみらい事業所内にサステナブルな地球の未来を探究する体験型施設「Green Park FLOOP(グリーン パーク フループ)」を開設した。一般の人にも環境への理解を深めてもらう試みだ。

 コニカミノルタは、50年の自社製品ライフサイクルでのCO₂排出量を100%削減する「2050年にネットゼロ」を目標としている。複合機の生産拠点では、中国に続きマレーシアでも100%再エネを達成し、海外複合機生産拠点は、全拠点で100%再エネを実現している。また、フランス、米国のトナー充塡(じゅうてん)工場、欧州の主要販売拠点で再エネ100%を達成している。

 セイコーエプソンは「環境ビジョン2050」を策定、50年に「カーボンマイナス」「地下資源消費ゼロ」を目指し、商品・サービスやサプライチェーンにおける環境負荷の低減に注力する。昨年12月には、国内の製造業としては初めて、日本を含めた全世界の拠点で、使用電力の100%再エネ化を実現した。また、ラインインクジェット機「LM」シリーズが、23年度省エネ大賞の製品・ビジネスモデル部門資源エネルギー庁長官賞を受賞している。今年の秋には「紙資源の循環サイクル」を実現する乾式オフィス製紙機「PaperLab」を市場投入する。

 各社では、循環型社会実現に向けた取り組みを本格化させている。