2024.07.09 【家電総合特集】後半戦の取り組み シャープ 菅原靖文常務執行役員スマートライフ&エナジービジネスグループ長兼Smart Appliances & Solutions事業本部長

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とがった商品を積極的に展開

ASEANと米国に重点 海外市場、2桁成長へ

 2024年度第1四半期(4~6月)は、ある程度プラス需要を見込んでいたが、物価高やコト消費の拡大で、業界全体の実需は理美容商品やエアコンが伸びたものの、家電製品、とりわけ大型家電製品は、前年を下回るか横ばいの状況となっている。

 全体的に厳しい感触となっている中で、当社もその影響を受けているが、一方で局地戦において健闘した商品もあった。

 その一つが「Plasmacluster Beauty(プラズマクラスタービューティ)」ブランドのドライヤーIB-WX901で、コンパクトな本体で速乾性に優れた点が支持された。

 またコードレススティック掃除機RACTIVE Air9シリーズも静音性が評価されたほか、紙パック式も投入するなど陣容を強化し、評価された。

 さらに大型冷蔵庫では設置性を考慮して横幅競争が活発化するなか、奥行き薄型(63センチメートル)にこだわった設計を採り入れたFit63シリーズが好評だ。

 ドライヤーについては、IB-WX901の健闘で当社のシェアも上がり、瞬間で10%を超えるときもあるなど、存在感を示せるようになった。ドライヤーの新しいカタチ、顧客が求める速乾ニーズへの対応、さらには理美容商品でSNSや交通広告など当社が今までやったことがないプロモーションに取り組んだ結果、ドライヤー事業を活性化させることができた。

 RACTIVE Air9シリーズやFit63シリーズ、あるいはドラム式洗濯乾燥機など、前半戦は市場環境が厳しいなかでもしっかり成果を上げる商品が出てきたので、後半戦に向けてもさらにこれらとがった商品を積極的に出していきたい。お客さまに価値を認めていただき、販売店にも売りたいと思っていただける商品をどんどん開発し、業界全体を盛り上げるとともに事業成長につなげるようにしたい。

 海外市場については2桁成長を目指す。ASEAN、米国市場をまず最重点市場と位置づけて取り組む。ASEANではインドネシア市場で冷蔵庫、洗濯機、エアコンがともにトップシェアを獲得した。昨年から稼働したインドネシア工場の商品供給力やハラル対応・停電対策など市場ごとに最適な商品戦略を強めた成果だ。

 今期はASEAN全域でシェアを拡大させる。米国市場には高速オーブンを投入するなど、ビルトイン調理家電の商品戦略に力を入れる。