2024.07.12 【電子部品技術総合特集】研究開発の取り組み アルプスアルパイン 横山進矢技術企画室長

横山 室長

環境・産機に取り組む

車載、モバイルに加えて

 アルプスアルパインは、事業ポートフォリオ変革とソフトウエアセントリック時代への対応などを方針に、研究開発、事業開発を推進。競争力の高いコアコンピタンスへの経営資源集中を図っている。

 同社は、2019年に旧2社の経営統合で発足した。同社が目指すのは、「革新的T型企業」。旧アルプス電気の縦に深耕するコアデバイス技術と旧アルパインの横に広がるシステムインテグレーション領域の組み合わせによる商品開発を進めている。

 事業ポートフォリオ変革では、主要領域である「車載」「モバイル」に加え、「第3の領域として、環境・産業機器をキーワードとした取り組みを進める」(横山進矢技術企画室長)。

 分野別では、特にデジタルキャビンへの経営資源集中に取り組み、「自動車OEMと連携し、上位からの開発を行うことで、付加価値を高めていく。特にソフトウエア開発に注力する」(横山室長)。

 同社の研究開発活動は、5年から10年先を目指した開発を行うコーポレート開発、顧客にひも付いた開発を行う先行開発、受注した製品を量産に移行させる量産開発などの観点で進めている。地域別開発(NBD=ニュービジネスディベロップメント)では、北米、中国、欧州などの各エリアで、技術開発体制を構築している。グループの技術人財は、全世界で約5000人が在籍する。

 海外開発拠点での開発は、従来は日本からの開発委託に基づいた活動が中心だったが、最近は、リージョンごとの現地顧客の引き合いに現地で直接対応し開発するという活動を強化している。「米中デカップリング懸念への対応や、スピード感の向上、地域ごとに異なる法規への対応などの観点から、現地での一貫性を持った開発を強化している」(横山室長)。

 他社とのアライアンスにも積極的に取り組み、特にデジタルキャビン事業でのアライアンスを加速。一方、ノンコア技術に基づく事業は積極的に切り出しを行う。

 先端技術開発では、メタマテリアルに着目し、東北大との連携による研究開発を推進。AI(人工知能)関連では、東工大と連携し、AI・データサイエンス教育講座を社員向けに開講。AI活用では、車載向けシステムインテグレーションソフトウエアや自動画像検査工程での活用などを進めている。脱炭素関連では、再生樹脂利用の推進や、CNF(セルロースナノファイバー)含有樹脂成型やバイオマス樹脂成型などの研究に取り組んでいる。