2024.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】明光電子 深耕強化で「統合商社」の強み発揮

大島 社長

 明光電子の2024年8月期の売上高は予算をクリアして85億円で着地する見通しだ。半導体不足に伴う特需的な上振れを除けば、中長期的な右肩上がりの成長は持続している。

 電力センサーモジュールとIoTゲートウェイを組み合わせた電力測定ソリューションは売れ筋の一つ。大島祥嵩社長は「工場のIoT化を進める中で『電力の見える化』は稼働監視を含めて入り口になりやすいとみている」と説明する。環境配慮・省エネ対策のニーズに加え、既存のインフラを生かしながら後付けできる利便性が好評だ。

 「ニオイを見える化」するCMOS型ニオイセンサーは量産体制が整い、評価キットの提供を開始した。研究開発部門、工場生産部門からの関心が高く、先端技術の一つとして提案していく。一方、半導体市場は調整局面で受注は落ち着いているが、新規基板の立ち上げの話は加速している面もあるという。

 ここ数年、新規顧客の開拓に注力しており、ここで軸足を深耕に移す。同社は製品開発を支援する「専門商社」の役割に加え、一社で基板上を網羅して何でもそろう「便利屋」の顔を持つ統合商社だ。

 大島社長は「統合商社としてお客さまと深く付き合うほど、面白い仕事ができる。若手のモチベーションにもつながる。お客さまもソリューションを享受できるメリットがある」と深耕強化を説明する。具体的にはパブリックな展示会への出展ペースを減速し、プライベート展示会に主戦場を移す方針。基本に立ち返って統合商社の強みが喜ばれやすい国内産業機器の顧客にさらに特化していく。

 大島社長は5月1日付の就任以来、原点回帰や経営理念を重視してきた。「社員が経営理念を理解しても、完全に実行するまでにはギャップが生まれやすい。ギャップを埋めるために社員に声を掛けていく。9月からの事業年度開始を踏まえると、5月のトップ就任はありがたかった」と振り返る。

 同社は「お客さま一社ごとに集中する」(大島社長)ことで、深耕を強化、プライベート展示、社内の技術力活用などを進めていく。