2024.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】飯田通商 EMS事業、ASEANで拡大へ

森山 取締役

▶画像ギャラリーへ

 飯田通商は、日本のほか、中国、ASEANに拠点を構えグローバルビジネスを展開し、エレクトロニクス商社機能を生かしEMS事業を拡大している。

 EMS事業は、業界に先駆けて1992年に中国・東莞に製造会社を設立、その後2013年にタイとミャンマーに全額出資の自社工場を設けた。同社の顧客が中国一極集中からASEANに生産を分散する動きに対応し、21年に東莞工場の基板実装事業をタイ工場に集約、現在はタイをグローバルハブに位置付けている。東莞工場はタッチパネルやガラス、飛散防止フィルムなどの貼り合わせ事業を中心に、ミャンマー工場は電子データ加工事業を行っている。

 森山篤取締役上席執行役員生産本部長は、「EMS事業の主力拠点であるタイ工場では、基板のアートワークから試作、量産までを行える体制を整備し、設計からモノづくりまでの一貫体制を構築している。今年5月にはIATF16949認証取得も完了。省人化や生産効率向上のための自動倉庫も今春導入。クリーンルーム(クラス10000)での事業も引き続き拡大させていく」と話す。

 同工場は1万平方メートルの総面積を持ち、2200平方メートルの生産エリアにSMT8ラインを設置、従業員数は400人。新たにFUJI製の最新鋭SMTラインを導入、各種信頼性試験設備なども充実させている。「自社および工場団地で二重の洪水対策も実施し、過去10年間、一度も洪水被害が出ていないことも顧客への安心につながる」(森山取締役)。

 300人が従事するミャンマー工場は、画像加工や管理間接部門のデータ入力、CAD/CAM 3D業務、AIアノテーションなどの事業を行い、「顧客のDX推進を加速し、社内のノンコア業務を24時間対応でサポートすることで、新たなビジネスチャンスの創出に取り組んでいる」(森山取締役)。

 今後の展開について森山取締役は「EMS事業は順調に拡大、今後さらに伸ばしていく。現在は同事業の大半が民生系だが、タイ工場でのIATF16949認証取得を契機に車載ビジネスを本格的に展開したい。タイでは将来的な建屋増設が可能な用地も確保している」と語る。