2024.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】菱洋エレクトロ リョーサンとのシナジーを発揮へ

中村 社長

 4月にリョーサン菱洋ホールディングス(HD)がスタートし、菱洋エレクトロとリョーサンはその子会社として事業活動を行う。

 菱洋エレクトロの中村守孝社長(リョーサン菱洋HD社長)は「菱洋という会社の質向上に6年間を費やした。経営統合を経て今後は量と質の好循環を目指す」と説明する。

 HD誕生はオーナー系ではない両社の対等な大型統合であり、業界で抜きんでて生き残るのが目的。商社にとって重要な顧客資産は2倍になり、スケールメリットを獲得した。「成長戦略を実践し、お客さまにより高い付加価値を提供する」(中村社長)という顧客志向を徹底していく。

 また、次世代のリーダー育成も重視。人材発掘や登用では出身会社にこだわらない。

 菱洋エレクトロの主要事業領域は「半導体・デバイス」と「ICT・ソリューション」。リョーサンとは顧客・取扱機種といった事業基盤の重複が限定的。両社の顧客、商材、ノウハウを組み合わせたクロスセルを展開してシナジー効果を発揮していく。

 これまで菱洋では、エンドユーザーの要望把握を徹底してきた。中村社長は「メーカーの研究開発・企画開発部門といった〝川上〟のお客さまと幅広い接点を持つ必要がある。パイプを持つことでエンドユーザーさまをどう考えているかが分かり、何を求められているか想像できる」と説明する。

 CX(顧客体験価値)調査も徹底してきた。苦情を含めて自社の選択・不選択の理由を聞き、顧客接点を深める営業活動に反映させてきた。

 菱洋エレクトロでは今年度、各事業分野における強化や現状維持、縮小といったポートフォリオの明確化と、それに伴うリソースの最適化、生産性の向上を進めていく方針だ。

 現在、市場ではサプライチェーンの在庫調整局面、中国市場の低迷などが進展する。

 中村社長は「半導体では今年度後半からの回復という見解はあるが、楽観はしない。こういう時こそ営業は基本を見つめ直す。海外では中国市場対策を含めて戦略自体を練り直す必要がある」と語り、課題に挑む。