2024.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】各社、DXで需要創出

 半導体メーカーやエレクトロニクス商社は、社会全体のデマンドクリエーション(需要創出)に力を入れる。食品、医療、物流などの産業と接点を増やし、製品にサービスを組み合わせ、使い方も提案。デジタルトランスフォーメーション(DX)を働き掛ける。少子高齢化による人手不足と人工知能(AI)の進展が背景にある。

 6月に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた食品製造総合展「FOOMA JAPAN」ではエレクトロニクス商社国内最大手が、食品工場のモーターを遠隔監視するサービスを提案した。片手で持てる米国製センサーを取り付け、振動などのデータからモーターごとの特徴を学習し、不具合の予兆を検知すると対処法を示す。AIの一種だが専門技術者なしで使える。出展の狙いは食品メーカーとの接点だ。

 パシフィコ横浜(横浜市西区)で5月末から開催の日本超音波医学会学術集会ではファブレス大手が無線式、携帯型の超音波画像診断装置(エコー)の評価モデルを展示した。超音波の発生や全体の制御に自社製LSIを搭載。担当者は「バッテリー動作時間が3時間以上と知ると驚かれる」と言い、LSIの特徴を医療関係者に直接訴求した。携帯型エコーは、人手が不足する医療現場の負担を軽くする効果が期待される。

 5月にパシフィコ横浜で行われた物流展示会「ジャパントラックショー」にも複数の商社が参加。空気圧センサーや衛星測位製品と車両の遠隔管理システムを組み合わせた。物流2024年問題に照準を合わせた提案だ。空気圧センサーによるタイヤの状態監視を紹介した担当者によると運送事業者から想定を上回る問い合わせがあったという。

 電子情報技術産業協会(JEITA)半導体部会が5月に発表した政策提言では、業界も自助努力を続けていくが、一方で日本政府にもデジタル投資やDX、グリーントランスフォーメーション(GX)推進を通じた国内半導体市場の創出を最優先で求めた。