2024.07.30 【家電流通総合特集】地域店の申請サポートの工夫

クリアファイルを活用し書類の不備を防ぐ(富屋電化)

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申請書類の複雑さが悩みの種

まとめて手渡し クリアファイル活用

 自治体の省エネ家電補助金は、家電店にとって、成約につながる後押し材料となっている。一方で、補助金を申請する際の書類は複雑なケースが多く店の悩みの種となっている。地域店は顧客をしっかりとサポートできるのが強み。複雑な書類の申請などをカバーしつつ、実績につなげている店も多い。

 富屋電化(大阪府和泉市、冨尾洋一社長)は、和泉市が実施している「省エネ家電買替促進事業」を活用し、エアコンと冷蔵庫の販売につなげている。申請書類の準備を同店が行うなどサポートを徹底。冨尾社長は「補助金は金額より申請(のサポート)が大事」と力を込める。

 和泉市の補助金は、省エネ性能の高いエアコンと冷蔵庫の買い替えが対象。購入額に応じて最大3万円の補助が出る。制度が始まる前に行った声かけの効果もあり、既に20件ほど申請をした。

 申請書類は同店がそろえ、クリアファイルにまとめて渡している。運転免許証などの本人確認書類と預金通帳など口座番号が分かる書類のコピーのみお客に準備してもらう。

 クリアファイルにはお客自身で用意する書類を書いた紙を貼り、不備を防いでいる。

 運転免許証を返納しているなどの理由で申請先の和泉市役所までお客自身で行くことが難しい場合には、同店が連れていく。同店は市役所から4キロメートルほど離れた場所にある。そのため、市役所から離れた場所に住んでいるお客も多い。冨尾社長は「車を運転しない人はバスに乗らないと市役所まで行けないため送迎している」と話す。

 三重県では、省エネ家電の購入額に応じてキャッシュレスポイントなどをプレゼントする「みえデコ活!省エネ家電購入応援キャンペーン」を実施している。対象はエアコン、冷蔵庫・冷凍庫、LED照明器具、電気温水機器(エコキュート)。合計購入金額(税別)に応じた交付ポイントは、15万円以上で3万円分、10万円以上15万円未満で2万円分、5万円以上10万円未満で1万円分。

 中川無線(三重県四日市市、中川美光社長)では、このキャンペーンを活用し、冷蔵庫やエアコンの販売につなげている。

 冷蔵庫の買い替えに使用されており、申請サポートを手厚く行っている。大容量で省エネのフラッグシップモデルの販売が好調。エアコンはIoT対応機種が好評で、離れて暮らす親が熱中症にならないように冷房を使っているか確認できるとのことで評価を得ている。

 宮城県亘理町では、4月1日から9月1日までにエアコン、テレビ、冷蔵庫、LED照明機器の対象商品を購入することで補助金がもらえる。販売金額の3分の1で限度額が4万円となっている。ただ、受付申請は8月1日からになっている。

 その亘理町にある亘理家電サービス(小野久志店主)では、エアコンやLED照明機器などの購入に当たり、省エネ家電の販売に注力している。小野店主は「対象商品の購入も進んでいるが、申請したから必ず補助金がもらえるわけではないことも含めて、しっかり説明しながら販売に当たっている」という。

 申請書類についても、町役場に確認を行いながら作成、お客に届けている。「購入者には予算も少ないことから、受付開始スタートに合わせた申請を呼びかけている」という。