2024.08.09 【コネクター特集】主要コネクターメーカーにアンケート 電波新聞社まとめ

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 コネクターメーカー各社は、2024年度もグローバルでの積極的な事業を展開する。23年度はコネクター需要がやや低調に推移したが、24年度は「国内」「グローバル」ともに市場反転が予想されている。そうした中で、各社は自動車、産業機器などを中心とした高付加価値分野での事業拡大を目指す。設備投資計画も積極姿勢がみられる。自社業務へのAI(人工知能)活用も着実に進んでいる。電波新聞社がこのほど主要コネクターメーカー対象に実施したアンケート調査(回答19社)により浮き彫りになった。

グローバルでは8社が「増」回答

コネクター需要予測

 24年(1~12月)の「国内」および「グローバル」のコネクター需要予測を聞いた。

 国内需要では、回答12社中、3分の2の8社が「増」と回答。ただし、「2桁以上の増」としたのは1社のみだった。

 「グローバル需要」についても回答11社中、7割強の8社が「増」と回答したが、「2桁以上の増」としたのは1社にとどまった。

 コネクターのグローバル需要は、21年、22年と成長が続いたが23年は低調に推移した。24年も産機市場向けなどは厳しさが継続しているが、全体では緩やかな回復が見込まれている。

24年度計画、「10%未満の増」最多

コネクター部門の売上高実績・計画

 各社のコネクター部門売上高の23年度実績と24年度計画を聞いた。

 23年度実績は、回答15社中、最も多かったのは「10%未満の増」とした6社。次が「10%未満の減」とした5社となった。全体では、半数強の企業が「減」と回答し、「20%以上の減」と回答した企業もみられた。24年度計画では、回答15社中、最も多かったのは「10%未満の増」とした8社。全体では「増」と回答した企業が8割を占めたが、一方で、「2桁以上の減」とした企業も計3社あり、企業によってバラつきがみられている。

自動車電装品、産業機器と続く

24年度の拡販重点分野

 24年度の拡販重点製品分野(国内+海外市場、複数回答)を聞いた。

 回答18社で、最も多かったのは「自動車電装品」の54ポイント。次が「産業機器(含むFA)」の49ポイント。3位以下は、「医療機器/ヘルスケア」「通信・放送インフラ関連」「環境・新エネルギー関連」「ウエアラブル端末」の順となっている。

 自動車市場は、多くのコネクターメーカーが事業拡大のための最重要分野に位置付けている。CASEをメガトレンドとした自動車の技術進化や市場変革は、車1台当たりのコネクター搭載点数や付加価値を向上させていく。産業機器市場は、社会全体の自動化ニーズやスマート化ニーズの高まりにより、今後も中長期での継続的な成長が見込まれる(集計方法=上位5分野を挙げてもらい、1位=5ポイント~5位=1ポイントとして集計)。

24年度、「増」が約6割の7社

24年度の自動車用コネクター販売計画

 「24年度の自動車用コネクターの販売計画(23年度比)」の質問では、回答12社中、約6割の7社が「増」と回答し、うち5社は「2桁以上の増」と回答した。「減」と答えたのは1社のみだった。

 車の電子化・電動化は、自動車1台当たりのコネクターポテンシャルを年々増大させている。直近では、EV(電気自動車)市場の成長鈍化が顕著となっているが、ADASの搭載増加や車室内機能の高度化などを背景に、今年も車載用コネクター市場は堅調な推移が予想されている。

最も多かったのは「10%未満の増」

24年度の産業機器/インフラ用コネクターの販売計画

 「24年度の産業機器/インフラ用コネクターの販売計画(23年度比)」の質問では、回答14社で最も多かったのは「10%未満の増」とした4社。全体では4割強の6社が「増」と回答したが、「減」とした企業も計5社に達した。「20%以上の減」と回答した企業もみられた。

 産機用コネクター市場は、サプライチェーン在庫過多の影響で23年度は低調に推移した。24年度も直近では低調な推移が継続しているが、今年度下期に向け、調整一巡からの回復が期待されている。

米国、中国、インド、台湾の順

海外営業体制強化

 「今後営業体制を強化する国や地域」の質問(複数回答)では、最も多かったのは「米国」の35ポイント。「中国」が32ポイントで続いたが、昨年8月の同様のアンケートと比較すると、1位と2位が入れ替わる形となった。3位以下は、「インド」「台湾」「ドイツ」「タイ」「ベトナム」「韓国」の順となっている。

 最近は米中摩擦が一段と激化し、グローバルサプライチェーンのデカップリングなども議論されているが、コネクターメーカー各社の米中市場重視の姿勢に変化はなく、今後も米国市場と中国市場での営業活動のための拠点の充実化や人材増強などが進む見通し。加えて、将来に向けて高い市場成長が期待されるインド市場も注目が高まっている。

「間接的に影響受けている」10社

米中摩擦や地政学リスクへの対応

 「米中摩擦の事業への影響」についての質問では、回答16社で最も多かったのは、「直接的な影響は受けていないが間接的に影響を受けている」と答えた10社。

 次いで「ほとんど影響はないが今後を懸念している」の4社となった。

 「地政学リスクやBCPなどを見据えた社内体制見直し・強化」の取り組み状況の質問(複数回答)では、回答17社で最も多かったのは「生産拠点のグローバルでの分散化」と答えた10社。

 以下、「サプライチェーンの見直し・変更」「国内生産強化」「webを活用した営業・プロモーション活動強化」の順となっている。

8社が「活用を始めている」

自社業務へのAI活用

 自社の業務へのAI(人工知能)の活用状況や今後の計画を聞いた。

 「業務へのAI活用状況」の質問では、回答16社で、「活用を始めている」と答えたのは8社。「活用準備を進めている」の回答も2社みられた。1年前の同様の調査では「活用をはじめている」と答えたのは3社だったのと比較すると、この1年で大きく活用が進んでいる。

 「AIを活用している業務分野」の質問(複数回答)では、最も多かったのは「営業・マーケティング」としたのは6社だったが、「製品設計」や「製造工程」と回答した企業もみられた。

アンケート回答企業一覧

 ▽I-PEX▽イリソ電子工業▽SMK▽オータックス▽京セラ▽ケル▽小峰無線電機▽サムテックジャパン▽TE Connectivity▽七星科学研究所▽日本航空電子工業▽日本端子▽ハーティング▽ヒロセ電機▽フィッシャーコネクターズ▽ホシデン▽ミネベアミツミ▽山一電機▽ヨコオ(19社/五十音順)