2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 アイティフォー 佐藤恒徳社長

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26年度売上高280億円へ

既存領域拡大と新事業開拓

 前半戦は、市場の旺盛なDX需要に後押しされ堅調に推移した。基幹事業である金融機関向けのソフト開発やインフラ設備の更改、個人ローン業務支援システムなど金融機関との新規取引が拡大した。

 特に、キャッシュレス化を推進するニーズが高く、マルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」の販売が好調だった。

 2024年度は3カ年の第4次中期経営計画のスタートの年。第1四半期は増収増益を確保し順調に滑り出した。

 第4次中期経営計画では、最終年度の26年度の売上高280億円、営業利益48億円をそれぞれ目標に掲げた。既存事業の拡大と新規事業の開拓を並行して加速させている。

 策定に当たっては、長期ビジョン「HIGH FIVE 2033」で掲げる33年度の売上高700億円、営業利益126億円の最終目標を見据え、バックキャスト方式で数値目標を設定した。

 今回の中計は「既存事業を力強く発展させ、新規事業で飛躍的に成長する」をテーマに、事業、人財、企業価値向上の三つの基本戦略で構成している。

 事業戦略では、売上高を23年度の206億円から26年度に280億円、営業利益を37億円から48億円にそれぞれ伸長させる目標を定めた。

 強みを持つ地方銀行への営業体制強化に向け、これまで六つの事業部のそれぞれの担当が同じ地区でセールス活動を展開してきたが、一部で先行的に「アカウントセールス」を導入する。

 1人の社員が六つの事業を抱え、その地域で活動する方式だ。これまでは人脈を含めて強い顧客基盤を持つ地銀の情報を十分生かし切れていなかった。アカウントセールスによって地域情報を集約し、地域還流型ビジネスの起点として複数のサービスの提案を強化していきたい。

 既存サービスの拡大に向けては、金融機関向けに展開していたコンタクトセンターサービスを新領域に展開し、問い合わせ業務の自動化を推進するほか、BPO(業務受託)サービスを分社化して他事業領域に進出したい。

 労働力人口の減少と食品ロス解消に向け、キャッシュレス決済搭載の無人販売機を小売事業で進めるほか、デジタル手形を活用した地域周遊促進サービスを提供するなど、新サービスの既存領域への展開を進めていく。

 人財戦略では新卒採用を現状の30人から60人に拡大するとともに、社内研修やリスキリング(再教育)の充実を図る。

 企業価値向上戦略では、株主向けの情報発信や個人投資家を対象に説明会を開催するなど認知度向上と株主還元の高水準維持を目指したい。