2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 日立ソリューションズ・クリエイト・南章一社長

社員へのSX浸透図る
社内で生成AIの活用開始

 2024年度は中期経営計画の最終年度になるため、計画を確実に達成させると同時に次期中計の準備を進め、スタートダッシュできるようにしていきたい。

 日立製作所と日立ソリューションズと連携して進めるSIと、独自に展開するソリューションサービスの2軸で事業を進める中、23年度は双方とも前年同期比10%増収で推移した。利益率も着実に上がり、全社員がプロセスとルールを徹底し生産性と品質を高めたことが成果につながったとみている。

 今中計は「ワークスタイル」「モダナイズ」「セキュリティー」「サプライチェーン」「ペイメント」の五つを重点事業として掲げ取り組んできた。ITシステムのモダナイゼーション(近代化)は順調に伸びたほか、セキュリティーは引き合いが多い。

 当社のセキュリティーはトレーニングをはじめ、企業の課題をみながら一緒に支援をする協創型セキュリティーが強みになっている。高度な技術を持つセキュリティーエンジニアとともにコンサルティングから支援し、企業のセキュリティー課題を解決している。

 ワークスタイルの領域では、独自開発の「仮想オフィス」を展開してきたが、今年4月から従業員のエンゲージメント(愛着心)を高められる新サービス「従業員エンゲージメント育みサービス」を始めた。関心が高く、既に3件受注し10件の引き合いがある。日立グループ内外から問い合せがあるため、確実に受注につなげたい。

 生成AI(人工知能)の活用に向けた取り組みも本格的に始めた。まずは社内でチャットGPTなどの実証を進めている。6月から調達と知財の問い合わせ領域で活用を始めた。社内で知見を積み、来年以降、外販できるようにする。SIなどの開発領域でも設計やテストで生成AIの活用を始めており、日立グループとも連携していく考えだ。

 日立ソリューションズグループで強化しているSX(サステナビリティートランスフォーメーション)にも取り組んでいく。4月に部門を設立し6月に七つのマテリアリティー(重要課題)を特定した。今後SXの取り組みを加速させるとともに社員へのSX浸透を図るためにサステナ経営検定の受験を進め、既に3級は419人が合格し合格者数はトップになった。2級合格者も10位以内に入っている。

 次期中計は独自事業を強化しながら収益を拡大することが焦点になる。今中計の五つの重点事業を再整理し、30年を見据えた成長を描けるようにしていく。来年度以降にやるべきことは見えてきているため、4月にスタートダッシュが切れるよう、強みをさらに強くできる計画を立てていきたいと考えている。