2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 NECネクサソリューションズ 木下孝彦社長

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提案型ビジネスで成果

AI機能でアプリ高度化へ

 中堅企業の経営環境は、円安による物価・原材料の高騰、労働力不足や人件費アップなど必ずしも良好とは言えないが、ICT投資は着実に進展している。さまざまな課題をICT投資により解決していく思いを強く感じる。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)、デジタル投資に着目、基幹システムのモダナイゼーションだけでなく、SaaSの活用など周辺のシステムへの投資も進んでいる。生成AI(人工知能)への期待感もICT投資を後押ししている。

 2023年度の業績は過去最高益を達成するなど想定以上に収益が積み上がった。24年度も、堅調な民需に加え、システムの標準化を控え自治体の投資も本格的に動き始めており、自治体案件の受注が第1四半期も2桁伸長した。通期で増収増益を計画している。

 重点テーマの一つ「付加価値の強化」では、サービスビジネスへの転換を進め、強みを生かした付加価値提案に注力している。お客さまの課題に対し、仮説を立て、付加価値を提案する提案型ビジネスが着実に成果を上げつつある。

 「人への投資」では教育投資を増やしている。特にDX領域の教育、さまざまな事例の共有などに積極的に取り組み、学ぶ意識も向上した。昨年度からベテラン・シニアの経験・ノウハウを若手へ伝授するSE(システムエンジニア)塾を開催しているが、今年度から営業塾も本格的に始めた。

 「データドリブン経営」では、組織ごとの閉じた形でなく、組織の壁を取り払い、全社横断的なデータドリブン経営に取り組んでいる。データの可視化をすることで、社員全員が共通のデータを見ながら取り組む社内DXも、まだ途上だが着実に進んでいる。

 毎週30分程度、オンラインで全体朝礼を行い、経営の状況や案件の動きなどを情報共有する。毎回、全社員の7割近くが参加している。

 生成AIについては、SEを中心とした業務などに活用し、非常に効果が出てきている。AIは業務パッケージにも活用できる領域が多い。AI機能を組み込むことで、アプリケーションの高度化にもつなげていきたい。愛知県碧南市と自治体業務における生成AI活用による連携協定を締結し、共同検証を開始している。また、AI技術を利用して化学・食品業の製品の品質値を予測・シミュレーションする「Clovernet AI」などの提供も開始した。

 24年度下期は、クラウド基盤、ネットワーク基盤、運用マネージドサービスの三つを組み合わせた提案をコア戦略として強化していく。また、NECグループとのアセット、リソースの連携強化、人事戦略などの強化を進める。