2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 富士通コミュニケーションサービス 金井美紀和社長
オファリング活動本格化
拠点網を生かし地域創生も
主力のコンタクトセンター事業で単なる請負からの脱却を目指し、付加価値の高いサービスに切り替えていくよう意識改革をしてきた。長年のノウハウを生かし顧客接点をよりよくするカスタマーエクスペリエンス(顧客経験価値=CX)向上の支援に取り組んできているが、社員の意識改革も進み、着実に動き出していると感じている。
2023年度は増収増益となった。価値を生み収益性の高いビジネスに取り組むことを掲げてきたが、各事業で底上げができたとみている。24年度は①人材育成と組織開発②稼ぐ力をつける③マネジメントの強化-の三つを掲げた。
人材育成ではキャリア開発などを行う専門組織を新設。付加価値の高いサービスを生むためにCXとDX(デジタルトランスフォーメーション)の知見を持った人材を増やす必要があることから「CX/DX人材育成」に取り組み始めた。
まずは基礎講座のレベル1からスタートし第1期生179人が修了し、次のステップに入っていく。3年後に300人程度をレベルの高いCX/DX人材に育てていく計画で、最終的にレベル1は全社員が取れるようにしたい。レベルの高い人材が収益性の高い事業をできるとみている。
稼ぐ力をつけるために付加価値の高いサービスメニューの開発にも取り組んでいる。口コミサイトを分析し集客改善につなげる提案をする取り組みをはじめ、企業のコンタクトセンターのあるべき姿をアセスメント(評価)し提案するサービスも用意。現場社員がアセスメントできることも強みにしている。
社内の人材を速やかに最適配置する取り組みも進める。センターの各人のスキルを見える化することで、最適な人材を素早く集めて窓口を立ち上げたり、速やかにプロジェクト進行したりできるようにしている。
現在、企業の課題に対し分かりやすく解決策を提案できるよう、業種ごとに課題を設定し企業と一緒に取り組むオファリング活動を始めている。今後、オファリングメニューを増やす計画で、企業に寄り添って価値を提供できるようにしたい。マネジメントの強化では品質リスクマネジメント統括部を設置し品質を可視化するとともに経営幹部が数値を共有して議論できるようにした。
今年12月に創立30周年を迎える。当社は北海道から九州まで全国にセンター拠点を持ち活動してきたが、今後は地域創生にも取り組みたい。これまでは東京で受注した仕事を拠点に出していたが、それぞれの拠点で強みがある。現在、拠点のある自治体などとも話を始めている。センターの社員がより活躍できる場を作り、地域の強みを生かした事業の創出に取り組んでいきたい。