2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 内田洋行・大久保昇社長

快適に働き・学ぶ環境支援
人とデータの利活用がカギ

 2021年7月にスタートした第16次中期経営計画では「人」と「データ」の時代になることを掲げ取り組んできた。第14次中計から進めてきた社内組織体制の改革で市場環境の変化に柔軟に対応しグループの力を最大化できる体制にできた。第16次中計期間はGIGAスクールやウィンドウズパソコンの更新といった特需がない中でも当社の基盤となる事業(ベースライン)を着実に伸ばせるようになった。

 業務と教育の現場をICT構築と環境構築を組み合わせて支援する、「働き方変革」と「学び方変革」に取り組む中、この一年でも多くの実績をつくることができた。コロナが明け企業の出社率が上がる中、クラウド型会議室予約運用管理サービス「スマートルームズ」や、働き方と働く場を最適化しハイブリッドワークを実現できる独自の仕組み「スマートオフィスナビゲーター」の実績も増えている。

 これまでの働き方の見直しはオフィスが多かったが、最近はR&D(研究開発)拠点の見直しを検討する企業が増えてきた。オリンパスは本社機能と開発機能を集約したグローバル本社の移転に合わせスマートオフィスナビゲーターを導入した。今後はオフィスだけでなくR&D拠点などへも提案していきたい。

 自治体や教育機関との先進事例も出てきた。こども家庭庁の「こどもデータ連携実証事業」に採択された埼玉県戸田市にAI(人工知能)を使い不登校を予測するモデルを導入。全18の小中学校で実証を始めた。横浜市とは市内496校の児童生徒26万人、教職員2万人が使う学習支援システムを構築した。神奈川県開成町には自治体の情報と教育機関の情報を集約した「こども見守りシステム」を構築し困難を抱えている家庭を早期に発見する取り組みを進めた。

 いずれもデータの活用がカギになり、当社のデータ活用の知見が入っている。データを生成するのも人なら使うのも人になり、学ぶ環境でも働く環境でも非常に重要になってきている。データ活用の領域では企業内外のデータ分析や活用に知見があるスマートインサイト社を吸収しており、データ収集力とAIを活用した支援を強化していきたいと考えている。

 24年7月から第17次中計がスタートした。引き続き「人」と「データ」の時代を軸にしながら、働く場でも学ぶ場でもデータを利活用し、快適に学び、働ける支援をしていく。新年度に合わせ本社事業部門と子会社との役職兼務の体制を敷いた。グループ連携をより強くする狙いがある。これまでデジタル化が遅れていた中堅中小企業もインボイス対応をきっかけにデジタル化が進んだ。当社の強い食品や建設業界向けのデジタル化の支援も加速させる。