2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 大塚商会・大塚裕司社長
売上1兆円突破が射程
「まるごと」提案で安定成長
2024年12月期は通期で初の売上高1兆円突破を目指している。上半期の業績は、堅調なIT投資需要に後押しされて年初予想を上回り、通期の売上高は当初予想比2.8%増の1兆550億円に上方修正した。
下期も旺盛な需要が見込まれ、11月中にも達成できる見通しになってきた。1兆円企業として高まる期待値に応えていきたい。
上期を振り返ると、これまでは新規の獲得でトップラインを伸ばしてきたが、一社当たりの売り上げがプラスになったことで増収増益を確保できた。
コピー機やパソコンの入れ替え時に、クラウドサービスも同時に薦めるなど、幅広い商材やサービスを生かして企業の課題を解決する「オフィスまるごと」の成果が表れている。
ただ、取引がある約29万社の3分の2に当たる20万社は依然として単品取引。顧客の声に耳を傾け課題を解決していく複合ソリューション提案の余地はまだまだある。
そのためのマーケティング強化に向け、7月に組織を強化した。「まるごとマーケティング(MM)戦略推進事業部」を立ち上げ、オフィスまるごとを軸に全社組織を再編した。
これまではコピー系、ネットワーク系、コンピューター系と部門ごとに販売促進活動を展開していたため、担当する製品を売ることがメインになって、営業が現場で入り乱れることもあった。セクショナリズムを排して、統一性を持たせ全社でマーケティングを進める体制を整えた。まだ棚卸しの段階だが、今後本格化させていく。
19年8月から社内で実施しているAI(人工知能)を活用した営業支援も、決定率が年々増加している。人が気付かない提案や偏らないリコメンドをしてくるAIの示唆にはそれなりの根拠があり、営業社員全体に活用を広げている。
ハピネスプラネットと連携して、AIを活用したウェルビーイング推進にも力を入れている。
後半戦に向けては、来年10月がサポート期限のウィンドウズ10から11への移行が本格化する。19年のウィンドウズ7の入れ替え時は、特需を獲得できたが一過性に終わり、反動減も大きかった。ただ、ウィンドウズ7の時とは背景が変わっている。これまで別々の商材だった基幹系統合業務パッケージ「スマイルV2」と、情報系パッケージ「イーバリューV2」を統合して、データベースを共通にした「DX統合パッケージ」など新たな商材も立ち上げ、ソリューション力を養ってきた。オフィスまるごとの提案で、特需後の成長も維持できると期待している。
ソフトウエアなどの開発投資に24年は約90億円を投じ、サービスの底上げを図りたい。