2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社、引き続きDX軸の展開を加速
各社は後半戦に向け、引き続きDX支援を軸としたサービス展開を加速させる。
日立システムズは4月にAI活用ビジネス推進本部を新設し、社内業務への本格的な適用を始めた。生成AIを短期間、低価格で導入できる「おてがる生成AIパック」には240社から引き合いがあり、関心の高さをうかがわせる。
リコージャパンは、独自開発した700億パラメーターの大規模言語モデル(LLM)を生かし、デジタル化やデータ整備など伴走サービス型で生成AIの導入を支援する。
東芝デジタルソリューションズは、全社員がマイクロソフト365コパイロットを活用。人材管理のeラーニングに生成AIを組み込み、成熟度テストの問題を自動生成している。外販サービス化も検討する。
NSWは、全社横断のAIチームを中心に開発工程での活用や業務効率化など社内利用を進める。スマートグラスとAIを組み合わせた作業支援の提案も始めた。
社内プロジェクトも続々と立ち上がる。三菱電機ITソリューションズは、専門のプロジェクトチームでの生成AIの活用を具体化し、社員全体の底上げを図る。
日本事務器はトライアルプロジェクトを立ち上げ、社内規定の問い合わせ対応やデータベース化などの研究を推進。社員自身にも生成AIを活用できる環境を用意しノウハウの積み上げを図る。
IoTとAIを組み合わせたサービスを展開するMODEは、主力のIoT基盤サービス「BizStack」に生成AIを搭載。建設や工場の現場業務をサポートする。
Dynabookは、AI専用エンジンを内蔵した高性能ノートパソコンを中心に商品戦略を加速。AIパソコンを軸に創業35周年施策を25年1月まで展開する。
人材育成やSX
デジタル技術を教育や人材育成のほか「サステナビリティートランスフォーメーション(SX)」に生かす取り組みも進んでいる。
日立ソリューションズは、持続可能な社会に貢献するSXを掲げた中期経営計画が最終年度を迎え、社員にも意識が浸透。外部とも連携しながら新ソリューションの事業化を進める。
日立ソリューションズ・クリエイトは4月にSX部門を立ち上げて取り組みを加速。社員にサステナ経営検定の受験を勧め、既に3級に419人が合格し合格者数が企業・団体別でトップになった。
三菱電機インフォメーションネットワークは、サイバー攻撃に対するITセキュリティーに加え、装置やシステムを監視・制御するOTセキュリティーの強化を図る。
教育分野のDXを進めるのは内田洋行だ。埼玉県戸田市に、AIを使って不登校を予測するモデルを導入。全18の小中学校で実証を始めた。横浜市では市内496校の児童生徒26万人、教職員2万人が使う学習支援システムを構築した。
人材育成を強化する富士通コミュニケーションサービスはキャリア開発などを行う専門組織を新設。高付加価値サービスを生むためにカスタマーエクスペリエンス(顧客経験価値=CX)とDXの知見を持つCX/DX人材育成に着手した。
NECネクサソリューションズもDX教育に注力。事例共有を積極的に推進し、熟練社員のノウハウを若手へ伝授するSE(システムエンジニア)塾を横展開し、今年度から営業塾も始めた。
NECプラットフォームズは一職場の専門家ではなく、幅広い知識を持った社員を増やすため、人材流動化を進める。
売る力の底上げを狙う試みも広がる。大塚商会はマーケティング強化に向け、7月に組織を再編した。「まるごとマーケティング(MM)戦略推進事業部」を立ち上げ、オフィスまるごとを軸に全社横断で取り組みを進める。
アイティフォーは、強みを持つ地方銀行の顧客基盤を生かしたアカウントセールスを一部導入して地域情報を集約し、地域還流型ビジネスを起点に複数サービスの提案強化に着手する。
ユニリタは新規事業創出を継続的に展開。グループで年2回行い、アイデアを公募して事業化を検討している。新たに生まれたサービスも多く、引き続き強化していく。
OSKは急速に普及するAI分野に対応するため、昨年8月に研究開発推進課を設置。社員からのアイデア公募には100件近い応募があり、若手の優秀なアイデア2点の事業化を進める。
三菱電機インフォメーションシステムズは、SAPのクラウド基盤「S/4 HANA」への移行に注力しつつ、工場システムのDXなどデータの利活用を強化する。
NECネッツエスアイは、働きやすい職場環境を提供するためオフィス改修に力を入れる。製造現場の工場や自治体、病院など裾野も広がっている。
NECソリューションイノベータは「未病」を促進するヘルスケアに着目。血中のタンパク質から将来起こり得る疾病を予測するサービスが軌道に乗り、医療機関との連携は年100カ所単位で増えている。