2024.09.24 【九州・山口産業特集】長府工産 トライブリッド蓄電システム好調

工場用の太陽光発電システムも扱う

 長府工産(山口県下関市)は、自社ブランドのトライブリッド蓄電システム「LiB Tower Plus(LTP)」や、蓄電池などの販売が好調だ。

 3年計画で今年度は全体の売り上げ440億円を目標に、3年目には500億円の大台を目指している。井村隆社長は「非常にポテンシャルはある」と話し、LTPでどう絡んでいくかが鍵とする。第1四半期は昨年の大幅な伸びには届かなかったが、7月からは順調という。

 関東で特に市場が拡大しており、東京都の補助金が手厚いことが背景にある。九州では福岡市や北九州市なども補助金が手厚く、今後に期待している。補助金活用の積み上げを図ることで、第1四半期が伸びなかった分は修正せず、あくまで目標の440億円を見据えている。

 工場用の太陽光発電システムも扱っており、エネルギーの高騰で工場の自家消費用の設置が増えている。2MWの大規模なものから200kWや300kWなど工場に合わせて対応している。

 同社は水素の燃焼技術も持っており、このほど新型の水素ボイラーを北海道室蘭市で行う環境省実証事業向けに納品した。水素は運搬が難点だが、産業ガスを取り扱う商社と実証実験も行っている。井村社長は「水素関連の技術は大事にしていきたい」という。

 「さまざまなエネルギーを模索しているが、やはり今は再生可能エネルギー」と、太陽光発電システムとLTPで家庭をオフグリッドにし、家庭自体が発電所になればと、LTPの拡売に力を注ぐ。LTPが東京ガスに採用されていることから、ほかのエネルギー会社からも見学の引き合いが来ているという。

 モーターショーでも電気自動車(EV)が目立ったが、EVの普及では充電に時間がかかることと、電力会社が発電する電気量では電力量が不足することがネックで、「LTPを活用して太陽光発電を設置し、自宅で夜間にその電気を使用するのがベストでは」と話す。パワコンだけ先に設置し、蓄電池やV2Hを後から増設ができるのもLTPの強みの一つだ。