2024.09.26 【関西エレクトロニクス産業特集】分野別動向 大学

立命館学園は大学生と社会人をつなぐイノベーション施設「ROOT」を開設

イノベーション創出へ

施設開設や実証実験を推進

 関西地方の大学ではイノベーション施設の開設や大学病院移転など、新たな施設のオープンが続く。

 大阪大学と立命館学園は、6日に先行まちびらきが行われた「グラングリーン大阪」のイノベーション活動拠点「JAM BASE」に新施設を開設した。

 大阪大学は「大阪大学みらい創発hive」をオープン。三つの研究プロジェクトが実証実験を進めており、研究内容の体験も可能だ。体験によって得られたデータは研究にも利用される。

 29日まで、アバター共生社会実現に向けた体験型実証実験「アバターランド」を実施中。設置型や移動型のロボットアバターなどをJAM BASE内に41体配置し、周辺施設の案内などを行っている。CGアバターの操作を体験できるコーナーも設けた。

 アバターは同施設内だけでなく、東京や長崎、スペインから遠隔操作している。AI(人工知能)を活用し、ロボットの自律的な会話を基本とすることで、1人で複数のアバターを操作するケースもある。

 実証実験を通して、アバターの社会的受容性の調査や、操作者にどのようなサポートが必要かを探っていく。

 小学校から大学院まで擁する立命館学園は、企業や自治体と大学をつなぐ拠点「ROOT」を開設した。打ち合わせやセミナーができるスペースを設けている。

 同施設では、大学生と社会をつなぎ、イノベーションの創出を目指す。社会人が商品開発に当たって学生の意見を聞く場としての利用も想定する。

 ROOTはJR大阪駅に直結した所にあり、京都府や滋賀県にあるキャンパスからもアクセスしやすい。キャンパスを越えた取り組みも実施していきたい考えだ。

 近畿大学は2025年11月に医学部・近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)を、堺市南区の泉北高速鉄道・泉ケ丘駅前に移転する計画。駅から屋根付きのデッキで接続する。

 大阪市中心部からのアクセスが向上し、これまでの約1時間から約30分に短縮する。関西空港からの移動時間も約84分から約1時間に短くなることから、インバウンド患者も積極的に受け入れていく方針。

 医療圏は現在の約6万人から堺市の約82万人に拡大し、1日の外来平均患者数は約2300人を見込む。

 26年4月には同施設内に看護学部を設置する予定だ。