2024.09.26 【関西エレクトロニクス産業特集】電機関連メーカーの研究開発拠点 来年にかけて続々開設 部門・拠点間の連携などで効率化図る

パナソニック エナジーの住之江 生産プロセス開発棟

 関西では、エレクトロニクス関連メーカーの研究開発機関の完成が来年に続く。製品開発だけでなく生産技術部門の研究も担い、各分野の技術者を集めるとともに、部門間連携を強化。また、拠点同士の連携などで効率化につなげる動きも見られる。

 パナソニック ホールディングス技術部門は7月、2040年の暮らしを見据えた研究開発の方向性を示す「技術未来ビジョン」を策定した。技術未来ビジョン実現に向けた最新テクノロジーの一つとして、ペロブスカイト太陽電池の量産化に取り組む。

 設置場所にとらわれない「発電ガラス」として建材一体型太陽電池の量産を目指しており、現在1×1.8メートルの実用サイズでのモジュール試作ラインを大阪・守口市に立ち上げ、近々稼動させる。

 また、医療の高度化、個別化に貢献する技術として、患者自身の細胞から作ったiPS細胞を使い、免疫拒絶反応が少ない「個別のがん治療に用いるT細胞」の自動製造を実現する、省スペース・低コストの閉鎖系小型培養装置の開発にも挑戦する。

 パナソニックグループ最新の研究開発(R&D)拠点として、大阪府門真市の自社敷地内に西門真新棟も建設中だ(25年1月竣工〈しゅんこう〉予定)。グループとして初めて研究開発部門と生産技術部門が一つの建屋に入り、先進AI(人工知能)技術からモノづくり革新まで統合する最先端のラボを目指す。

 またグループのパナソニック エナジーでは、電気自動車(EV)や車載電池の市場が拡大するなか、生産拠点である住之江工場(大阪市住之江区)の敷地内に、住之江 生産プロセス開発棟を設立、今年4月に竣工した。

 25年4月に大阪・西門真地区で竣工予定のセル開発の研究開発棟(西門真 研究開発棟)と合わせ、約1100人の人財が電池関連の研究開発に従事する予定で、国内最大規模の電池研究開発体制となる見込みだ。

 京セラは、研究開発において共創・協業を推進し、多様化するニーズに応えることにより常に新たな価値を創造している。デバイス開発を推進するけいはんなリサーチセンター(京都府精華町)では、オープンイノベーションや大学、企業、スタートアップとの連携を推進。企業・大学による共創・人材育成の場「京都クオリアフォーラム」に参加。さまざまな企業のトップや大学の研究者が集まり、ネットワークを生かしながら社会課題の解決を目指し議論している。

 来年4月には野洲開発センター(滋賀県野洲市)が開所予定。分野ごとに技術者を各拠点に集約するとともに、拠点間の連携を強化。

 部品事業のコア技術や製造プロセス開発の強化、スピードアップを図るとともに、生産技術部門や各事業部門の技術者間の共創などを目的に開設する。

 ニチコンは、高機能製品を迅速に開発することをモットーとして研究開発を進める。関西の研究開発拠点は、開発センター(京都府亀岡市)があり、電源センター(東京都中央区)と共同で製品開発を進めている。

 家庭用蓄電システム、V2H、急速充電器、外部給電器のソフト開発を一元化し、ソフトの重複研究開発を防ぐだけでなく、JET認証の取得期間の短期間化につながるなど研究開発の効率化やスピードアップを図っている。