2024.10.15 「AI、新しい時代に突入」 CEATEC開幕、808社が競演
初日から多くの人出でにぎわいを見せた=15日午後2時ごろ、幕張メッセ(千葉市美浜区)
国内最大級のデジタルイノベーション総合展示会「CEATEC2024」(主催=電子情報技術産業協会〈JEITA〉)が15日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕した。昨年を124社上回る808社・団体が出展。「イノベーション・フォー・オール」をテーマに、18日までの4日間にわたり新時代に向けた最新技術やサービスを一堂に展示する。
最大の焦点はAI(人工知能)。出展者の約半数がAI関連の製品やサービスを紹介する。日本自動車工業会主催の「ジャパンモビリティショー」と初の併催となり、初日から多くの来場者でにぎわいを見せた。
CEATECは、あらゆる産業・業種の人と技術・情報が一堂に会し、「共創」によって未来を描く場として2000年にスタート。25周年を迎える今年は25周年特別企画「AI・フォー・オール」をはじめ、「ネクストジェネレーションパーク」「パートナーズパーク」「グローバルパーク」の主催者特別企画を用意した。
AI・フォー・オールには、AIを活用した先端技術や製品、サービスを開発する23企業・団体が出展。福祉機器開発のmarisは、一人で出歩けない視覚障害者や高齢者向けに、AIとカメラを搭載したデバイスを紹介。首に下げると危険を自動で判断し、振動で注意を呼び掛け、自立を支援する。
アイスマイリーは、AI導入を検討している企業とAI技術を提供する企業をつなぐポータルメディアを展開する。400製品以上のAIサービスを用意してマッチングを図り、AI導入を後押しする。
サイバーエージェントは、値札ディスプレーにキャラクターを登場させ、おすすめ商品や割引商品を提案するサービスを紹介。スーパーなどで実証したところ、最大で6.7倍売り上げが上がったという。
主催者特別企画の「パートナーズパーク」は、社会全体のDXのあり方や未来の暮らし、それを支えるテクノロジーを中心に、100を超える企業や団体が参画して「共創」を発信している。
特別企画「海洋DXパビリオン」では、海洋産業の振興・人材育成に取り組む6事業者が集い、パビリオン内に設置された大型プールを活用した最新技術のデモを実施。ALANコンソーシアムは、トリマティス開発の、レーザーを使った水中の3D計測を行う「水中ヒュージョンセンサー」による海の見える化デモを実施している。
デジタル田園都市国家構想特設パビリオンでは、デジタル田園都市国家構想に共感、共鳴する49の企業や自治体などが出展し、課題解決に向けたさまざまなプレゼンテーションを実施している。
JEITA半導体フォーラムでは、疑似的に半導体企業でのキャリアアップを体験できるオリジナルの「人生ゲーム」を出品。3回目となる今年は、30年後の未来にタイムスリップする展開も新たに含まれ、半導体が作る未来の可能性や魅力をアピールしている。
ネクストジェネレーションパークでは、昨年までスタートップ企業の共創の場として展開してきたが、今回から企業内の新規事業開発部門も出展できるように拡充。出展するスタートアップと大学研究機関出展者は188社・団体と過去最多を更新した。
海外からの出展者が集まるグローバルパークには、米国やEU、カナダ・オンタリオ、台湾イノベーション&サイバーセキュリティ、UAE(アラブ首長国連邦)、ウクライナ、ラトビアの7パビリオンを開設。日本企業との接点を求めて技術をアピールしている。
初日午前中に行われたオープニングセレモニーで、津賀一宏JEITA会長(パナソニックホールディングス会長)は「これからはAIにどう向き合い、課題解決に生かすか求められる。新しい時代に突入した」とあいさつ。ジャパンモビリティショーとの併催で「産業の幅を広げることができ、日本を代表する産業界の最新情報を発信できる25周年にふさわしい開催になった」と強調した。
「ジャパンモビリティショー」も開幕
日本自動車工業会(片山正則会長)が主催する「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024」も15日、幕張メッセで開幕した。208社が参加し、企業連携を推進するBtoB向けの展示会として開催している。
自動車メーカーではいすゞグループが自動運転ソリューションや、コネクテッドサービス、カーボンニュートラルソリューションの3領域をパネルで紹介。車両展示ではEVバスも出展した。
ホンダはハンズフリーパーソナルモビリティ「UNI-ONE」の試乗スペースを開設。トヨタは、コストダウンやエネルギー利用効率の向上を可能にするスイープ蓄電システムや、液体水素エンジン車などを出展し、レーシング仕様の水素エンジンGRカローラを披露した。
今回はスタートアップも多数出展。折りたたみバイクを手掛けるICOMA(東京都中野区)は電動バイク「タタメルバイク」の新製品を実演エリアで披露。会場中央ではビジネスマッチングエリアを用意。スタートアップと各企業が共創を生み出すためのスペースを設けた。