2025.01.01 【家電総合特集】AV/ホームソリューション25年各社の戦略 マクセルイズミ 椙棟直人社長

椙棟 社長

サステナブル製品を加速

シェーバーなど認知度向上へ

 家電製品事業では電気カミソリ用の刃の製造を始めて68年の技術力を生かし、電気シェーバーや毛玉取り器を軸にした展開を進めている。いずれも刃の技術力が求められる領域で当社の技術を生かした製品開発を進めている。特にサステナブルな(持続可能な)社会の実現を意識したモノづくりを前面に出しており2025年もさらに加速させたい。

 当社は刃の製造技術で知見を持ち電気シェーバーではOEM(相手先ブランドによる生産)での開発実績も豊富だ。自社ブランドの電気シェーバーも拡充し、3枚刃から6枚刃まで幅広い製品群をそろえる。

 23年には5年以上切れ味を保持し替え刃をせずに長期間快適に使えるフラッグシップの6枚刃電気シェーバーを発表した。

 刃と本体の両方をメーカーで5年保証する製品で新ブランド「エバーエッジ・イズミ・プレミアム」を立ち上げ展開を始めた。サステナビリティーを強く意識して開発した製品で、新開発した長寿命刃は「サステバ」と名付けた。24年はフラッグシップモデルの提案に注力し、ターゲットとしていた40代以上から評価され販売も順調だ。

 半面で若い層には十分に浸透できていないことから昨年12月から期間限定で人気Vチューバーの百鬼あやめさんを当社のCVO(最高Vチューバー責任者)に招聘(しょうへい)し「鬼ぞりシェーバーキャンペーン」を行っている。若者層への周知を目的に展開し、成果も出てきている。コラボした限定モデルは完売した。

 国内電気シェーバー市場は21年から回復基調にあり24年度は台数金額ともに前年を上回り高付加価値製品にシフトしてきている。引き続きサステバを前面に提案していくとともに製品ラインアップも拡充していきたい。

 国内でトップシェアを誇る毛玉取り器も、シェーバーの刃の開発で培ったノウハウが生かされている。39年間にわたり研究開発しており累計出荷台数は680万台を突破している。それでも認知度が足りないため昨年は毛玉が取れたときの快感を表現したCMも行った。毛玉取り器は25年に新製品を投入し、さらに浸透させたい。

 新たな取り組みでは「MONODZUKURI GOES ON(ものづくり・ごうず・おん)」プロジェクトを始めた。

 伝統工芸品の作り手と地域の工芸品を身近にして進化させていくことを目指しており、当社の地元長野県の伝統工芸の奈良井曲げ物と毛玉取り器を融合させた製品を発売した。こうした取り組みは今後もさらに広げていく。

 新領域では水耕栽培キット「Hugvege(ハグベジ)」を発売している。マクセルが培ってきたアルカリイオン整水器や水素シャワーといった水の技術を生かしたもので、室内で簡単に植物育成ができる。「食育」のためのキットとして提案し当社の新たな可能性として展開している。将来は法人向け市場も意識している。

 25年はサステナブルを意識した製品展開をさらに加速させる。電気シェーバー、毛玉取り器は新製品も投入し認知度を高めていく。あわせてサステナブルな企業活動にも取り組んでいきたい。