2025.01.01 【家電総合特集】AV/ホームソリューション25年各社の戦略 パナソニック くらしアプライアンス社 堂埜茂社長

堂埜 社長

アジア地域でラインアップ拡充

再生家電を本格的に強化

 2024年度上期(4~9月)は、厳しかった過去2年と比較すれば良くなっている。体質改善や新商品の投入、流通改革を広げ、総需要も前年並みと堅調で、これから高齢化が進み、日本市場がシュリンクすると言われ続けている中で、結構市場は安定している。

 こうした中、いろいろな活動を通じてシェアを上げることができた。濃淡はあるが、上期は1%強のシェアアップを図れ、下期は新商品の投入も加わり、年間で2%程度上げられる年となるだろう。おかげさまで年間で増収増益の着地になるとみている。

 貢献した商品は多い。ナノケアアルティメイトや手のひらサイズのパームインシェーバー、冷蔵庫も真ん中野菜を久々に出したし、ドラム洗では花王とコラボし、自動投入に入れる専用剤「極ラク汚れはがし」を共同開発した。

 マイクロミスト機能搭載のセパレート掃除機も好評だ。本来、フローリングでも細かい穴の中でほこりがたまり、うまく吸い取れないが、マイクロミストを吹き付けると静電力で浮き上がるため、確実に吸い上げることができる。

 使っている顧客からすると、フローリングのツルツルの仕上がりを体感できる。今後の販売に期待している。

 あわせて入り口の間口が狭い都心部の住宅地に、ななめドラムは今まで搬入できなかったケースもあるが、コンパクトな製品SDシリーズを1月から発売する。これにも期待をかけている。

 グローバル標準コストの活動に取り組み、30万円以上するななめドラムを20万円以下の価格設定とし、お買い求めやすい商品とした。縦型洗濯機から新製品のななめドラムに買い替えていただくことも期待できる。これによりドラム洗のシェアを上げていく。

 コスト競争力については、大手中国メーカーの設計基準や調達先の選択などグローバル標準コストの取り組みをしっかり学び、中国勢と同等の価格にはできないものの、その分はデザインや機能など当社独自の魅力でお買い上げいただけるものを作っていきたい。

 こうしたグローバル標準コストの考え方で開発した商品は、材料費を20%、最も削減できたものでは25%あった。来年度は全商品に展開する構えで臨む。

 指定価格の取り組みについては、23年度4分の1程度だったが、24年度は対象商品が40%まで広がった。適正価格で、ワンプライスでやるということは25年度から、よりシビアにやる。

 25年は、中国経済の状況が厳しい中、日本を含めアジアなどほかの地域でカバーし、増収増益を目指す。日本市場では、特徴ある新製品を連打し、さらなるシェア拡大を目指す。

 アジア地域では、商品開発スピードを上げ、商品ラインアップを拡充する。グローバル標準コストの考え方でコスト競争力の強い商品を投入する。中国で量産開発したものをアジアに展開していくことを強化したい。

 また、日本市場では25年度以降、本格的に力を入れたいのが再生家電の強化だ。新古品ばかりでなく、特に中古品をしっかり再生していく。もう一つはD2C(ダイレクト ツー コンシューマー)の強化だ。これによりパナソニックのブランド力を高め、真のファンづくりにつなげていきたい。