2025.01.01 【家電総合特集】AV/ホームソリューション25年各社の戦略 三菱電機 尋木保行上席執行役員リビング・デジタルメディア事業本部長
尋木 上席執行役員
画期的な製品で新価値を提案
ホームソリューション軸に
2024年の国内の家電と空調市場は、猛暑効果はあったものの個人消費の回復の遅れにより全体は微増で推移した。大きな拡大が見込めない国内市場は、収益を確保し事業を安定化していくため省エネ性などの価値を伝えていく必要があると思っている。
昨年4月には市場の価値観やニーズの変化に対応し、マーケットインの事業展開をしていくために家電事業と電材住設事業を統合した。従来の製品軸だけでなく製品を通じたホームソリューション軸での提案ができるようになり、新たな価値を創出していきたい。
製品別にみるとルームエアコン「霧ヶ峰」は24年10月にFZ/Zシリーズ、ズバ暖霧ヶ峰FD/ZDシリーズを発売。人の気持ちを測って空気を整える世界初の空調「エモコテック」を進化させ、風当たりの好みに合わせた温度調節で省エネ性を向上した。
冷蔵庫は、大容量タイプで新たに「できちゃうV冷凍」機能を搭載した新製品を24年12月に投入。「切れちゃう瞬冷凍A.I.」や「氷点下ストッカー」といった当社の強みの機能に野菜の冷凍を可能にした、できちゃうV冷凍を追加しユーザーに新たな価値を提供する画期的な製品になったと確信している。
換気扇と照明は、省施工に優れた製品を中心に提案してきた。給湯機はエコキュートの買い替え需要に加え、高効率給湯器への補助施策も後押しし、高効率機種を中心に市場が拡大している。IHクッキングヒーターは、業界で唯一電子レンジ機能を搭載した「レンジグリルIH」が評価され販売も好調だ。
25年の国内市場は省エネ性に優れた製品の購入ニーズが増加すると予測し、家庭用/業務用ともに24年の水準プラスαの底堅い需要を見込んでいる。
国内市場は台数ベースで拡大は見込めないが、省エネ/節電意識の高まりや、時短、健康などに対するニーズは根強く、省エネ型の製品や本質的な価値を提供する製品は着実に増加するとみている。
冷蔵庫は、当社ならではの冷凍機能でお客さまの食生活をサポートしていく。ジャー炊飯器は「炭×連続沸騰×非圧」という独自技術で冷めてもおいしいご飯や低温調理機能を訴求していくほか、IHクッキングヒーターは省エネ/時短調理を前面に出していく。当社サイト「くらし×おトク サイト」で、Nadia社と連携した調理レシピの提供や、ハウスクリーニングの展開も強化する。
電材住設では、エコキュートで補助金を活用したランクアップ提案を引き続き強化するとともに25年6月に省エネトップランナー基準に対応の新製品を発売する予定だ。IHクッキングヒーターは、堅調な買い替え需要の刈り取りをしていく。
引き続き世界各地域で求められる環境規制の強化や環境意識の高まり、生活水準の向上というニーズにスピーディーに対応し、三菱電機らしい価値をお客さまに提供していきたい。IoTを活用した保守/運用管理/リニューアル提案など、エンドユーザーとつながり続けるサービス事業を拡大させ、循環型ソリューション事業を確立していく。