2025.01.01 【家電総合特集】暮らし&ホームソリューション’25展望 IoT家電

暮らしの便利、安心、省エネに貢献するIoT家電の普及が進んでいる

つながることで使い勝手向上

各社、ラインアップ拡充に力

 暮らしの利便性を支える白物家電は、IoT化の進展によって、今後新たな段階を迎えることになる。クラウドとつながることで、さまざまなサービスとの連携を図ることができ、より一人一人に寄り添った家電製品へと進化していく。

 IoT家電とは、インターネットとつながり、さまざまな機能を使えるようになる家電のこと。スマートフォンで外出先から家電を制御するといった、身近なところでの利便性・快適性の向上が分かりやすい。

 ソフトウエアをダウンロードして、購入した後もさらに機能を進化させたり、各種サービスとの連携でより使い勝手を高められたりと、家電製品単体で使うよりも利便性の幅が大きく広げられる。

 IoT家電として普及が進むのはテレビで、今やスマートテレビがスタンダードとなっている。

 白物家電では、ルームエアコンや冷蔵庫、洗濯機、オーブンレンジ、炊飯器、空気清浄機、エコキュートといった主要なカテゴリーでIoT化が進む。

 IoT家電(スマート家電)の普及はまだ途上だが、家電各社は近年、IoT家電のラインアップ拡充に力を入れている。

 ユーザーにとっては、IoT化による利便性の向上や安心・安全、省エネが、快適な暮らしの実現に貢献するため、満足度は高く、積極的に活用するユーザーも着実に増えている。

 ルームエアコンの場合、外出時の切り忘れを外出先で操作できた、あるいは電気代の見える化で省エネの意識が高まった、といったユーザーが増えているという。

 物価や電気代の高騰が進む中、省エネへの意識向上や、最適な操作による無駄な運転の抑制といった特長は、IoT家電導入の大きなきっかけとなる。

 メーカー各社では今後のIoT家電の普及加速に向け、さらなるラインアップ拡充に力を注ぐ。多様なサービス・ソリューションの開発も強化する。

 この分野で先行するシャープは、AIoT家電が生活家電やテレビ、エアコンなど12カテゴリーに広がり、24年9月に累計1000機種を突破した。

 また、国内大手各社もIoT家電の商品ラインアップを拡充し、さまざまな使いこなし、サービス連携を強化していく。

 IoT家電が普及することで、一人一人のユーザーの家電製品の使い方が分かり、どういう時間帯で使っているのか、どういう機能を使ったのか、などさまざまな情報を得ることもできる。

 これにより、新たな機能開発に結び付けたり、家電の使用実態から見守りや安否確認も行えるようになったり、安心・安全にも寄与できる。今後ハードの進化と合わせ、IoT化で新たな価値を高める開発がさらに加速しそうだ。

 IoT家電の普及が、白物家電市場の再成長に貢献する可能性も高い。ハードの進化が総じて頭打ちにある中、IoT化による幅広い価値の創造が、新たな需要創造につながるとの期待が高まっている。