2025.01.01 【家電総合特集】暮らし&ホームソリューション’25展望 洗濯機
省家事ニーズの高まりを背景にドラム式洗濯乾燥機への関心が高まる
ドラム式への関心が高まる
洗剤など自動投入にも注目
共働き世帯の増加などを背景に、家事の省力化は大きな課題となっている。洗濯機は、三種の神器の一つとして長年にわたり家事労働の軽減に寄与してきた家電製品だが、時代に合わせて省家事の機能も進化。洗濯から乾燥まで一気通貫で仕上げる、あるいは、液体洗剤自動投入機能を搭載するといった、より使い勝手にこだわった便利な機能へと変化している。
家事省力化のニーズが強まると同時に、近年はドラム式洗濯乾燥機への関心が高まっている。乾燥機能のない全自動洗濯機などを除く洗濯乾燥機の中では、もはやドラム式洗濯機が8割以上の構成比を占め、主流となっている。
ドラム式洗濯乾燥機は、洗濯から乾燥まで一気に仕上げる利便性から注目されるようになった。乾燥性能に優れるだけでなく、乾燥まで一気通貫で仕上げられるため洗濯物を干す手間が減らせることに加え、大容量化によるまとめ洗いも可能だ。
気になる乾燥の電気代も、ヒートポンプ乾燥方式を取り入れるなどして省エネ技術が進化。近年では液体洗剤・柔軟剤の自動投入機構など、使い勝手がより高まり、注目が集まっている。
洗濯乾燥機は、洗濯機の市場全体でみると約3割を占め、安定している。日本電機工業会(JEMA)の調べによると、洗濯乾燥機に占めるドラム式の割合は、2024年度上期(4~9月)で87.8%となり、前年同期の81.0%から6.8ポイント上昇。洗濯乾燥機ではドラム式のニーズが圧倒的だ。
24年度通期では、ドラム式洗濯乾燥機の市場が100万台市場へと成長するとの見方もある。
洗濯機全体の出荷台数は、24年度上期は前年同期比94.1%となる195万9000台で推移した。全体としては買い替え需要をベースに中長期視点で安定した推移が見込めるだろう。
ドラム式洗濯乾燥機は、清潔・快適志向や省家事ニーズの強まりを背景に関心が高まり、高付加価値商材だけに販売店でも取り組み意欲が高くなっている。
乾燥フィルターの自動清掃などメンテナンス性の向上や、イオン搭載による衣類の除菌・消臭、静音性、デザイン性など、総合的な商品力が強化され、訴求ポイントは充実している。
ただ、ドラム式洗濯乾燥機は30万円以上の高額なタイプが多く、欲しいけれどもまだ手を出せないというユーザーも多い。こうした中、機能を絞って価格を下げたモデルの開発も進み始めた。
同時に、ドラム式が欲しいけれど購入に結び付かないユーザーの中には、設置性の問題が解決すれば欲しいと考えるユーザーもいて、幅60センチメートルに収まるコンパクトスリム設計を取り入れた戦略モデルの開発も進む。
マンションなど集合住宅に住む人にとって、こうしたコンパクトなドラム式があれば、縦型全自洗からドラム式へとグレードを上げるきっかけとなる。ドラム式洗濯乾燥機市場の裾野拡大に貢献することになる。