2025.01.03 【家電流通総合特集】 我が社・団体の戦略 シャープマーケティングジャパン 大山貞代表取締役社長
大山 代表取締役社長
タイパと省エネ家電に注目
4ボックス+5つのベスト 営業施策徹底へ
2024年度に入って、全体の市場動向としては、最低賃金のアップや実質賃金も上がり景気を下支えしたものの、物価上昇がそれを上回り可処分所得は減っているという状況が続いている。
家電業界では、前年と違い暑さが早く到来し、ルームエアコンが伸び、夏モノ商品全般的に好調だった。省エネ家電に対する政府の普及支援の施策が、買い替え需要を顕在化した面もある。テレビはオリンピック需要に期待したが、通期では厳しい展開となっている。冷蔵庫・洗濯機も業界全体は想定まで伸びず、トータル横ばいで推移している。
こうした中、当社では理美容関係でプラズマクラスタードレープフロードライヤーを中心に非常に伸びたのが、今までなかった動きだ。
AQUOSではミニLEDバックライト搭載「XLED」で50V型/43V型のミドルクラスを出し、トータルの金額を押し上げた。少人数世帯が増え、ミドルクラスの付加価値モデルが支持された。
冷蔵庫は、550リットルゾーンを投入し、これを含めFit63シリーズが、550~430リットルまでラインアップがそろえられた。奥行き薄型63センチメートルで取り出しやすいという商品戦略は奏功している。
洗濯機では、以前からドラム式に力を入れてきたが、24年9月から12キロタイプを投入し、この動きが好調だ。
ウォーターオーブン ヘルシオ、ヘルシオ ホットクックはともに堅調で、台数が伸びない中、付加価値モデルが健闘した。ホットクックではwithシリーズも投入したので、今後に期待している。
ヘルシオ トースターも昨年末から投入し、パンをパリフワ食感に焼き上げるほか、お餅も柔らかく焼き上げられると好評だ。今後の販売に期待したい。
空気清浄機では、「空気は『見る』時代です。」をコンセプトに、空気清浄効果の見える化を実現した新製品を出した。
プロモーションも強化し、女優の浜辺美波さんを起用したテレビコマーシャルや交通広告、Web広告、ファミリーマート店頭サイネージなどで広く展開した。24年9月発売以降、気温が下がり始めて動きが出てきた。25年もきっちり訴求していく。
AIoT家電については累計1000機種を達成した。それだけAIoT家電をお使いのお客さまが増えてきたことを意味する。
これからの取り組みとして、洗濯機や冷蔵庫、テレビなど製品同士の横連携を強化したい。音声発話機能を活用した防災・見守りへの活用も視野に入れている。
AIoT家電はネットにつながっているため、稼働状況が分かる。ユーザーがどういう使い方しているか把握することで、故障の際にいち早くその情報を把握して、タイムリーな修理につなげるという取り組みも進めていく。
25年の市場環境は、総じて家電製品の耐用年数が従来よりも長期化し、09~11年のエコポイント特需の買い替えがまだ本格化していない。このため潜在的な需要はあり、25年も堅調に推移するだろう。
自動調理できる家電やドラム式洗濯乾燥機などタイパ家電は伸びていく。女性が外に出る機会が増え、理美容商品も伸びていくだろう。103万円の壁が取り払われれば、主婦が外に出て働く時間も増え、ますますタイムパフォーマンスが重要視される。また、電気代高騰の中で、省エネ家電も注目される。
25年は営業の取り組みとして、4ボックス(店頭導入、演出、勉強会の実施、実売イベント開催の一連のサイクルをしっかり回す)という営業の行動指針に加え、五つのベストにも取り組む。
ベストポジション(店頭展示の位置)、ベストアテンション(演出)、ベストフレンド(比較展示による商品価値の明確化)、ベストストーリー(しっかりした販売シナリオ)、ベストコネクション(店員との強い結び付き)をしっかり展開する。
また、お客さまは事前にネットで調べて家電を購入するということが一般的になり、店頭での訴求がお客さまの調べた情報と一致するよう取り組みたい。
プロモーション稼働もさまざまなメディアを活用する。3年前から始めた当社YouTubeの公式登録者が秋に10万人を超えた。
当社のX公式も80万人強おり、メディアとして全体で100万人の発信力があるため、これを生かしてマーケットにコンタクトし、ファンづくりを進めていきたい。
また、販売店とも年2回春・秋に販促提案会を全国でやっており、この取り組みを強化していく。この場で当社の製品を体感していただくようにする。地域専門店には合展・個展の成功事例の発信により、成功事例の横展開を強化していく。