2025.01.08 【製造技術総合特集】主要各社の25年戦略 FUJI

五十棲 社長

グローバル市場動向に対応

 FUJIは実装機を中心としたロボットソリューション事業、工作機械のマシンツール事業の2事業をグローバルに展開。2024年度からの中期経営計画(3カ年)では事業ポートフォリオの再構築を進めるとともに、半導体関連のセミコン事業の拡大を図る。

 五十棲丈二社長は「市場は24年の初めに中国を含めたアジアでの回復基調が少し見られた。一方で春頃から欧米が低調に転じた。業種別では中国をはじめとするローカルのスマートフォンメーカーの需要回復が見られた」と振り返る。

 製品では、実装機の最新機種「NXTR(ネクストアール)」の評価が高まったことが大きい。オプション機能の拡充や精度向上が奏功した。特にフィーダーの自動交換を行える「Aモデル」のテスト案件が24年度下期に増加した。需要をにらみ、中国・東莞およびハンガリーの事務所刷新、インドネシアでの現地法人設立を実施。グローバルの各拠点が同一品質・セールスを提供できるように努めている。

情報を共有化

 市場流動性の高まりに備え、各拠点の経営層や実務層、プロモーションチームが一堂に集まるグローバルミーティングを年2回開催。対面で行い、レベル感を統一して情報の共有化を進めている。

 セミコン事業では、ダイボンダーでロジック向けを強化しており、引き合いも増加。今後はAI(人工知能)向け半導体のパッケージ向けの機種開発にも注力する。マウンターではNXTRのさらなる高精度化を進めていく方針だ。

 データドリブン経営のために、サプライチェーンマネジメントからエンジニアリングチェーンも含めて包括的なシステム刷新を進めている。年内に新システムの稼働を計画しており、バリューチェーン全体で情報伝達の速度を上げる。

 五十棲社長は、25年について「脱中国によるリロケーションへの対応、北米の内需、グローバルな米系企業の投資再開、インドローカル企業の拡大に期待している。車載とスマホがしっかりと動いてくると市場にボリュームが出る。リロケーションの案件はしっかりと獲得したい」と意欲を示す。