2025.01.09 【電子部品総合特集】電子部品メーカーに聞く「25年の経営戦略」 電波新聞社アンケート〈下〉
「省資源やリサイクルの推進」最多
脱炭素化/カーボンニュートラルへの取り組み 「脱炭素化(カーボンニュートラル)の達成に向けて取り組んでいること」(複数回答)の質問では、回答32社で最多は「省資源やリサイクルの推進」の26社。以下、「自社全体の数値目標の設定」「目標達成に向けた具体的な計画策定」「自社オペレーションでの再生可能エネルギー活用」「環境配慮製品の開発」の順となった。
「自社オペレーションでの再生可能エネルギーの活用の有無」についての質問では、回答31社中、約3分の2の20社が「導入済み」と回答。「近く導入予定」も1社あり、「導入を検討中」も8社となっている。
「企業活動を通じたカーボンニュートラルの達成時期」についての質問では、回答31社中、6割弱の18社が「達成時期目標を設定済み」と回答し、「近く目標時期を設定する予定」と答えた企業も4社を数えた。
各社の「カーボンニュートラルの達成時期」の質問では、回答19社中、最も多いのは、政府目標と同じ「2050年まで」とした16社で約9割を占めた。「2030年までに達成する」とした企業もあり、積極的な目標設定が行われている。
「活用を始めている」が5割超
AI活用について 各社に、自社業務へのAI(人工知能)の活用状況について聞いた。回答29社中、「活用を始めている」と答えたのは15社で、全体の5割を超えた。「活用準備を進めている」とした企業も7社みられ、「今後検討する」が4社となっている。
自社業務でのAI活用の具体的内容についての質問(複数回答)では、回答17社中、最も多かったのは「生産性向上や品質向上」の11社。このほか、「開発業務の効率化」が6社、「営業・マーケティングでの活用」が5社などとなっている。
生産比率を高める地域 東南ア、日本、台湾など
米中摩擦や地政学リスクへの対応 「米中摩擦の激化や、地政学リスクの高まり、円安進行などを見据えた社内体制見直し」について聞いた。回答30社中、「見直しを行う」としたのは24社で、8割に達した。
「見直しを行う」と回答した企業への「具体的な内容」についての質問(複数回答)では、最も多かったのが「生産拠点のグローバルでの分散化」の19社。以下、「サプライチェーンの見直し・変更」「国内生産強化」「グローバル物流体制の見直し・強化」と続いた。
「グローバル生産体制拡充や最適化を進めるうえで、今後生産比率を高めるエリア」(複数回答)では、最も多かったのは「東南アジア」の21社。2番目は「日本」の13社となった。3番目は「インド」と「台湾」が3社となっている。
電子部品業界では、チャイナリスクへの対応や地産地消要求の強まりもあり、2010年代以降、ASEAN生産シフトが進んでいるが、米国トランプ政権の誕生もあり、25年は、ASEAN生産シフトは日本回帰の動きがより強まる見通し。同時に、地産地消ニーズへの対応として、「中国の生産比率を高める」と回答した企業もみられる。
「25年3月まで」「25年9月まで」
産業機器市場の在庫調整終了時期予測 低調な推移が続く産業機器市場に関して、「産業機器市場の在庫調整局面はいつ頃まで続くと考えているか」について聞いた。
回答30社で最も多かったのは、「25年3月まで」とした11社。次いで多いのが「25年9月まで」の8社となった。
一方で、「26年3月まで」と答えた企業もみられるなど、企業によって見方が分かれている。
「既に終了した」との企業も
自動車市場の調整局面終了時期予測 直近でやや低調さが目立つ自動車市場の調整局面がいつ頃まで続くとみているかを聞いた。
回答30社で最も多かったのは、「25年9月まで」とした5社。「既に終了した」と答えた企業が3社ある一方、「26年3月まで」と答えた企業もみられた。
全体では「分からない」と回答した企業が10社で、約3分の1を占めた。
25年も厳しい状況が続くと予想
中国経済低迷の終了時期予測 中国経済の動向は、日系電子部品メーカー各社に多大な影響を与える。
各社に、「中国経済の低迷がいつ頃まで続くと予想しているか」を聞いた。
回答31社中、「25年3月まで」と回答した企業は1社、「25年6月まで」とした企業は2社にとどまり、25年も当面は厳しい状況が続くと予想している企業が多い。「分からない」と答えた企業は18社と全体の6割弱に達した。
3分の2が「強く影響を受けている」
原材料価格高騰やエネルギーコスト上昇、円安による電子部品製造コストへの影響 各社に、「原材料価格やエネルギーコスト上昇、円安による電子部品製造コストへの影響」を聞いた。それによると、回答33社中、約3分の2の21社が「強く影響を受けている」と回答し、「若干影響がある」が11社となった。「ほとんど影響無し」は1社もみられなかった。
また、これらを背景とした「販売価格是正の取り組み状況」の質問では、回答33社中、「多くの品目で値上げを実施している」と「一部の販売品目で値上げを行っている」の回答の合計が26社と、全体の約8割に達した。「現在は行っていないが、今後値上げを行う予定」と回答した企業もみられた。
アンケート回答企業一覧
▽I-PEX▽旭工芸▽朝日ラバー▽アルプスアルパイン▽イリソ電子工業▽SMK▽NKKスイッチズ▽岡本無線電機▽岡谷電機産業▽オータックス▽京セラ▽ケル▽小峰無線電機▽サガミエレク▽指月電機製作所▽スミダコーポレーション▽セイコーインスツル▽双信電機▽ダイヤモンドエレクトリックホールディングス▽TDK▽トーキン▽ニチコン▽日清紡マイクロデバイス▽日本ケミコン▽日本航空電子工業▽日本シイエムケイ▽日本電波工業▽ヒロセ電機▽北陸電気工業▽ホシデン▽本多通信工業▽ミネベアミツミ▽メイコー▽ヨコオ。(34社/五十音順)